
新型コロナウイルスが猛威を振るった2020年が終わり、2021年を迎え1か月が立ちました。2021年になれば状況が改善するといったわずかな希望も叶わず、いまだ苦しい状況が続いています。
しかし一部のホテル事業者はこの状況で生き残る為、従来の運営方法とは違う新しいサービス提供を始めています。今回はそういった事業者を紹介するとともに今後の民泊事業者がどう動くべきなのかを述べたいと思います。
最近の市場の動き
昨年後半にGoToトラベルが発足し一時的に観光客の数が増えましたが、その恩恵の受けられたのは一部事業者のみであったり、昨年末には感染者数増加に伴いGoToトラベルが一時停止となってしまいました。1月には東京を含めた一部の都府県で緊急事態宣言が再発令され、以前にも増して苦しい状況です。これを受けて大手ホテルチェーン会社は相次いで営業休止する事態となっています。そんな中、何とかこの状況を生き残ろうと新しいサービス展開を始めた事業者が見られました。
帝国ホテルの「サービスアパートメント事業」
帝国ホテル東京が2月から予約受付を始めた「サービスアパートメント事業」が注目を集めました。従来1泊5万円近くする施設ですが、5泊15万円又は30泊36万円で借りることができます。このサービスには、専属サービスアテンダントによる24時間対応や、フィットネスセンター、駐車場を無償で利用可能です。また別途費用は掛かるもののランドリや食事サービスをサブスクリプション方式で利用することができます。
1泊利用の需要が激減してしまっている中、空いてしまった空室を活用するための新たな取り組みでしょう。帝国ホテルというブランドの価値を下げてしまうのではないかという意見もある中での苦渋の決断だったと思いますが、今の市場を生き残る為の有効な手段だと思います。
ホテルニューオータニの「デイユースサブスクリプション」
ほう1つの事例として、ホテルニューオータニが2月から提供開始している「デイユースサブスクリプション」を紹介します。このサービスの特徴としては、定額料金で30日間何度でも12時間のデイユース利用が可能という点です。こちらのプランは月額30万円からとなっていますが、ライトに利用したいユーザー向けに、定額料金で月4回まで12時間のデイユース利用が可能というプランもあります。帝国ホテルのサブスクリプションプラン同様、定額で30日間の利用が可能ですが本サービス利用者は宿泊はできず、20時チェックアウトをしなければいけないのでご利用の際には注意が必要です。
このプランは主にテレワークで仕事をしている方向けに作られていて、自宅や会社での作業場がなく困っている方や、息抜きにいつもと違う場所で仕事をしたい方に適しています。
新しい民泊営業の形
この2つのホテル事業者の新しい取り組みを見て、従来の民泊の形も変えていく必要があると思います。どちらの事業者も、このまま短期宿泊の予約のみをターゲットにして営業してもこの状況を生き抜くことが難しいと判断して今回のサービス提供開始に至っているのでしょう。
民泊とマンスリーをかけ合わせて運用をしている事業者は既に多く存在しています。しかし、そのほとんどが提供しているサービスは短期利用者向けになっています。これからは長期利用者をターゲットにした集客を行っていくことが、今の状況を生き残る重要な鍵になることは間違いないでしょう。