
今年7月に政府がコロナ禍による経済不況に対して打ち出したGoToトラベル事業はここ数週間での感染者急増の事実を鑑みて、今月24日に一部エリアを適用対象外とすることを閣議決定しました。
本記事では、この決定が今後の民泊市場にどう影響を与えるのか、また民泊事業者はどう行動するべきなのかを民泊管理会社視点で述べたいと思います。
札幌市と大阪市のGoToトラベル一時停止
政府が11月24日に発表した内容をシンプルにまとめると、2020年11月24日から2020年12月15日に出発する大阪市と札幌市を目的とした宿泊予約は、GoToトラベルの割引適用と地域限定クーポンを受けられないというものです。新規予約はもちろん、既存予約についても適用対象外となるようです。また上記対象期間内の予約で、宿泊者側が11月23日までに予約且つ12月3日までにキャンセルした予約についてはキャンセル料を支払わなくてもよいものとしています。
一時停止を発表した当日から適用される内容だったため、この期間中に予約をした方は少し驚かれたと思います。本記事を見られている方で、この期間中に大阪もしくは札幌旅行を予約された方は割引適用がなくなってしまうので行くかどうかを再検討したほうが良いかもしれません。
一時停止による市場への影響
今回の決定は大阪市と札幌市にのみ適用される限定的なものなので、その他のエリアへは特段影響がないように思われるかもしれませんが、決してそうとは限りません。
そもそも今回の決定は、それぞれの自治体がここ数週間で急増する感染者数をみて政府に要請した結果のものでした。新型コロナウイルスの感染者増加はこの2エリアに限ったことではなく、その傾向は全国的に見られています。
NHKが公表している都道府県ごとの累計感染者数を11月1日と24日で比較した場合、大阪府と北海道の感染者数はそれぞれ約1.4倍と2.3倍という数字になっています。しかしながらその他の感染者数が多い東京都や神奈川県、愛知県の数字を見たとき、それぞれ約1.2倍、1.3倍、1.4倍となっています。
参考:https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/data/?utm_int=detail_contents_news-link_001
特に愛知県の感染者増加率は大阪府のそれとほぼ同じくらいです。もちろん感染者数の増加率だけがGoToトラベル適用を一時停止する判断材料とは限りませんが、上記エリアを含む他の地域でも一時停止を政府に要請する可能性は十分に考えられます。
そうなれば、旅行者数は減少する結果となり宿泊客の予約獲得は困難になることが予測されます。
民泊事業者はどう行動するべきなのか?
仮に今後全国的にGoToトラベルの適用が一時停止になるとして、民泊事業者はどう行動することがベストなのでしょうか?旅行需要が全くなくなるわけではないですが、数少ない旅行者をターゲットにして安定した売上確保をするには相当な競合優位性を持つ施設でないと難しいでしょう。
ではそれ以外の施設運営者はどうするべきなのか?撤退という選択肢を除くと出来ることは多くはありませんが、その一つとしては、ターゲットを宿泊客からそれ以外の客層に変えることです。もっと具体的に言うと、中長期予約の方向けに料金を適正化することです。
ご存知ない方もいらっしゃるかもしれませんが、実はGoToトラベルキャンペーンは10月末より8日以上の連泊予約については7日分までしか適用されないこととなっています。つまり、連泊が多くなるにつれてGoToトラベルの恩恵が少なくなるので、長期予約希望の方ほどGoToトラベル一時停止による影響が少なるなると考えられます。例えば1泊3,000円で30日滞在の場合総額9万円となりますが、その内支援が受けられるのは7日間のみとなり、金額でいうと10,500円相当の支援となります。1泊予約と比べて恩恵が少ない分、GoToトラベル一時停止によって予約を踏みとどまる可能性も低いです。
また、長期予約の利用者は観光目的ではなく仕事関連ややむ負えない事情でご利用される方も多くいらっしゃいます。そういった予約の中にはどうしても日程変更が出来ないケースもあるので、GoToトラベル一時停止に影響されません。
GoToトラベルの再開はいつになるのか?
現在GoToトラベル一時停止の対象となっている大阪市と札幌市は、12月16日再開予定となっています。しかし今後も感染者数が増加の一方を辿る場合は一時停止の延長もあり得ると思います。その上、GoToキャンペーンは来年2月1日までの適用となっており、万一延長となれば恩恵が受けられるのはごくわずかな期間となってしまいます。その様なケースを想定した場合、GoToトラベルに期待しすぎるのはリスクかもしれません。
プレイズではそのような事態を想定し、既に中長期予約の獲得に向けた取り組みを行っております。GoToトラベル一時停止発表を受けて、今後の運営についてご不安を感じていらっしゃる方がいらしゃいましたら一度個別相談をさせて頂くことも出来ますのでお気軽にご連絡下さいませ。