民泊の現状とコロナ禍における民泊の新たな取り組みについて

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民泊の現状とコロナ禍における民泊の新たな取り組みについて

目次

2018年6月の民泊新法の施行ら、日本では盛んに民泊が行われるようになっています。しかし、さまざまな問題点があるのも事実です。そこで、日本の民泊の現状における問題点と今後の展望について解説していきます。

 

コロナ禍における日本での民泊の現状

2018年に住宅宿泊事業法、つまり民泊新法が施行され、個人が民泊事業に参入することが容易になりました。実際に、民泊新法が施行された後は届出数は鰻登りでした。2020年の10 月時点で届出数は30,000件近くにものぼり、これは新法試行直後の12倍の件数にものぼります。(参考サイト: https://suumo.jp/journal/2020/11/18/176254/) 

しかし、パンデミックの影響により外国人観光客が激減し、国内旅行客も外出自粛等で大幅に減ってしまいました。コロナが民泊事業に与えた影響は計り知れません。2020年は事業廃止件数が激増し、2020年の10月時点で7,292件にのぼりました。(参考サイト: https://suumo.jp/journal/2020/11/18/176254/)

事業廃止の理由の49.1%が「収益が見込めないから」というものです。やはり、コロナによる海外旅行客だけでなく、国内旅行客の減少、オンライン会議の活用による企業の出張の抑制などが原因です。しかし、旅行や出張が世界中で再開された今、民泊事業が再び脚光を浴び成長をすることが見込まれます。 

新しく民泊事業をスムーズにスタートさせるためにも、本記事では、現在の民泊事業の現状や課題、そして新しい取り組みについてご紹介します。

民泊ビジネスが増加した背景


民泊の物件数は近年増加しています。2008年6月時点で民泊の届出がされた件数は2,500件程度だったのが、2019年3月時点においては14,059件となっています。

日本では2018年6月から民泊新法が施行されました。これによって、都道府県に届出をすることで、年間180日までは自宅やマンションなどにある空き部屋を有料で貸し出しできるようになりました。法整備が進められたことによって、民泊ビジネスに挑戦する人が増えており、届出件数は法施行日から増え続けています。

ただし、民泊は民泊新法が制定される以前からも盛り上がりを見せていました。法律が施行された時点で、すでに多くの事業者が民泊ビジネスに参入していたのです。その理由として考えられる背景はいくつかあります。

1. シェアリングエコノミーの認知

第1の理由として、近年になってシェアリングエコノミーという概念が広く認知されるようになったことが挙げられます。これは、モノやサービスを共有する経済の仕組みのことです。SNSが発達したことから、より容易にものやサービスを共有することができるようになりました。たとえば、カーシェアリングサービスは有名です。車を必要なときにだけ借りるサービスのことです。あるいは、戸建てを賃貸住宅として貸し出すハウスホームシェアリングサービスも流行っています。これらと同様に民泊ビジネスも短期間限定のルームシェアリングサービスとして注目されてきました。

2. インバウンドによる訪日外国人増加

第2の理由として、インバウンドによる訪日旅行客が急増しており、宿泊施設が不足している点が挙げられます。これにより一層民泊ビジネスの需要が高まっています。近年、日本は外国人観光客を増やそうとしていて、訪日旅行客数はかなりの勢いで増加しています。

2014年には1,341万人だった訪日外国人観光客数が2018年には3,000万人を突破しています。それに合わせて日本各地でホテルの建設が進んでいるのですが、それでも宿泊施設は不足しています。ホテルや旅館の需要が高まっていて、宿泊料金は高止まりの状態となっていて、民泊のように気軽に安く宿泊できるサービスが注目を集めているのです。

2008年にAirbnbというマッチングサービスが創業されたのも、民泊ビジネスを助けています。こちらのサービスによって、部屋を提供したい人と泊まりたい人のマッチングがスムーズに行われるようになったからです。こちらのサービスに登録されている物件の数は世界に500万軒以上存在しています。日本でも普及していて、民泊ビジネスを後押ししているのです。

3. 2020年の東京オリンピック開催

第3の理由として、日本が2020年に東京オリンピックを控えている点です。過去のオリンピック開催国でも、民泊は積極的に活用されていました。そのため、日本でも東京オリンピックを見据えて民泊の環境が整えられていて、民泊ビジネスが増加する理由の一つと考えられます。

空き部屋が生じて困っているという人が多いのも、民泊が増える理由です。日本にはたくさんの空き家があるとされています。使っていない部屋や住宅を所有している人はたくさんいて、持て余しているのが現状です。それを有効活用するための方法として、民泊は注目されています。

このように民泊ビジネスが増える背景には、いくつもの理由がかかわっているのです。

民泊新法における現状と課題


2018年6月15日の民泊新法の施行により、それまで行われていた民泊物件数が一挙に減少しました。

1. Airbnbによる違法民泊物件の掲載取止め

民泊新法が施行されたあとに、Airbnbの掲載物件の数が大きく減少しました。これは、民泊新法によって民泊ビジネスの規制が進められた結果です。違法な物件をAirbnbが掲載取りやめにしたために、一時的にAirbnbの物件数が大きく減りました。

これまでは、違法な環境の民泊物件がたくさんあって、そこでトラブルが発生していたケースが多かったのです。今後は多くの人がより安全に民泊を利用できるようになるでしょう。

違法な物件のケースとしては、たとえば、届出番号を架空のものにして登録するというものです。これに関して、Airbnbは届出や許認可などの書類を提示することを求めて対処しています。また、民泊新法では年間180日までしか宿泊させられないため、これを超えそうな家主に対して通知する、180日を超えたら予約できなくするといった対処も行っています。Airbnbは法令遵守を徹底していて、健全な民泊の普及に努めているのです。

ただし、現状でも違法な民泊物件は存在しています。届出をしていないにもかかわらず、SNSなどで宿泊客を募集して泊まらせているケースがあります。Airbnbを用いなくても民泊をすることは可能だからです。民泊営業を許可なく行った場合は、6ヶ月以下の懲役または300万円以下の罰金となります。無許可営業の数を減らしていくことがこれからの課題といえるでしょう。

民泊新法では、届出がとても簡単にできます。立ち入り審査などを受ける必要がなく、書類上の手続きのみで民泊を始められるのです。これによって、気軽に民泊ビジネスに着手できるようになったのですが、それによってトラブルが起きる可能性が生じています。たとえば、届出をするときには、消化器や非常照明、誘導灯などの設置が求められています。しかし、届出をする段階では、立ち入り審査はないため、違法な環境で届出しているケースも存在するのです。この点については、行政のほうに立ち入り調査権が存在しているため、自治体によっては積極的に立ち入り調査を開始する可能性があります。すでに、立ち入り調査を実施するという通達を出している自治体もあるのです。

2. 営業可能日数180日問題

現在の民泊新法では、民泊の営業日数を180日と上限を定めているのですが、これを問題視する声もあります。180日以外の185日をどのように活用するのかが問題となるからです。

3. 家主の有無による民泊運営スタイルの違い

現在の民泊新法では、家主居住型と家主不在型の2つのタイプの物件が認められています。

このうち、家主不在型とは、家主が離れていたとしても物件を貸し出せるというものです。こちらは、不動産賃貸業の空き家対策として利用されるケースが多いでしょう。この場合、コンビニでチェックインするなどの方法で家主と交流せずに利用できます。このような形の民泊は、本来の民泊のあり方と異なるのではないかという意見が出ています。単にマンションやアパートにある空き室に泊まってもらうビジネスでは、空き家対策に終始してしまうという懸念があるのです。

家主居住型民泊、家主不在型に関しては、以下の記事をご参照ください。

家主不在型!? 家主居住型!? 民泊新法が定める2つの民泊の違いとは!?

Airbnbを活用した民泊の展開


日本で民泊ビジネスをしている物件の多くはAirbnbを活用したものです。Airbnbとは、世界で利用されている民泊サービスのことです。空き部屋や空き家を貸したい人と借りたい人をマッチングさせるサイトでして、シェアリングエコノミーサービスの一つといえます2008年にアメリカのサンフランシスコで誕生して以来利用者が増え続け、世界192ヶ国、33000都市で利用されるアプリケーションです(2019年9月時点)。

民泊新法が施行され、民泊の届出をした人の大部分がAirbnbを活用しているのが現状です。日本で民泊を始めるうえでAirbnbは欠かせないものとなっています。

Airbnbを活用している人は世界中にいます。たとえば、これから日本に観光で訪れる人のなかにも、Airbnbで宿を探そうとしている人は多いです。民泊では、いかにして宿泊客を集められるのかが問題となります。Airbnbに登録することで、世界中の人達に自分の所有する物件を公開することができるため、スムーズに外国人登録客とマッチングすることができ、効率よく宿泊者を集められるようになります。

Airbnbを活用した民泊運営

Airbnbで部屋を公開するときには、さまざまな情報を正確に入力する必要があります。また、物件についての問い合わせが寄せられることも多いため、それにスムーズに対応することも大切です。外国とは時差があるため、問い合わせが深夜や早朝などに寄せられることもあり、素早く対応できるように努力する必要があります。また、貸し出した部屋の清掃をする必要があり、ベッドメイキングも済ませなければいけません。これらについては、1人で対応するのはとても難しいものです。そこで、最近は弊社のように民泊管理代行業者が登場していて、多くの方々が活用しています。問い合わせへの対応や清掃などをすべて任せることができ、運営のための負担を軽減できるでしょう。

Airbnbへの登録や物件の掲載には料金がかかりません。登録するためには、メールアドレスかGoogleアカウント、Facebookアカウントが必要となります。登録を終えると、物件情報を入力できます。宿泊可能な日程や料金だけではなくゲストの要件についても設定可能です。

Airbnbでホストとして活動するためには、4つの基準を満たすことが求められます。「迅速な対応」「予約リクエストの承認率」「キャンセルの回避」「高い総合評価」の4つが基準が上回っている必要があります。たとえば、問い合わせや予約リクエストに対しては24時間以内の返答が求められます。返答率を高く保つ必要もあります。予約リクエストもできるだけ承認しなければいけません。キャンセルについては、Airbnbは重く考えているため、できるだけ控えることが求められます。また、総合評価を高く保つことも期待されています。Airbnbの平均水準を割り込む場合にはペナルティの対象となる可能性があるため注意しましょう。

アメニティの準備

ホストには必需品の提供も求められています。これはトイレットペーパーやタオル、シーツ、ハンドソープ、ボディソープといったものです。普通のホテルで常備されているようなものと考えるとよいでしょう。快適に宿泊するために欠かせないものばかりです。アメニティがしっかりと用意されていなければ、低い評価を受けることになり、ペナルティの対象となるかもしれません。

このようにAirbnbはホストの質を高く保つために、責任を果たすことを求めています。ペナルティを受けると、アカウントの一時停止の措置をとられるケースもあります。ホストの都合によりキャンセルをすれば、キャンセル料を請求されます。しっかりとペナルティが用意されているため、Airbnbを活用して民泊を始める際には、適正な運営態度が求められるのです。

Airbnbのルールを理解したうえで上手に活用することで民泊を成功させられるでしょう。

コロナ禍で誕生した民泊施設の新たな取組み 

新型コロナウィルスで多くのビジネスが打撃を受け、消えてしまいました。しかし、それと同時に新しいビジネスや取り組みが広まっていったのも事実です。

民泊事業においても同様に、インバウンド旅行客、国内旅行客の激減により打撃を受けたビジネスの一つではありますが、事業を存続させるために新しい取り組みを行う動きが増えています。 ここでは、民泊における新しい取り組みについていくつかご紹介いたします。 

ウィークリー・マンスリーマンション

コロナにより、ウィークリー・マンスリーマンションの明暗が都市部と地方ではっきりと分かれました。都市部はインバウンド旅行客の激減により稼働率が激減しましたが、地方にあるウィークリー・マンスリーマンションは元々インバウンド旅行客に依存していないため、コロナ禍でも大きな影響を受けることはありませんでした。

このように、未曾有の危機の中でも成長をすることができた事業者は、コロナ禍で稼働しなくなった民泊物件をマンスリー物件として募集して空室ゼロを目指したり、ターミナル駅でない駅周辺の物件を運用する方向に切り替え、価格競争をしなくて済むようにしたりと、様々な工夫を凝らした取り組みを行う民泊オーナーも増えています。 

隔離施設

民泊施設には、バスルーム、キッチンなどの生活に必要な設備だけでなく、洗濯機、冷蔵庫、そして調理器具といった日常生活に欠かせない家電や家具も揃っています。 

また、民泊施設は独立した一戸建ての物件だった場合は特に、ホテルや旅館とは異なり、他の宿泊客への感染拡大の心配もなく完全無人でのチェックインも可能です。これらの強みを生かして、新型コロナウィルス感染症に伴う海外からの一時帰国者のための2週間の隔離期間に用いられる宿泊施設として活用された民泊施設も数多くありました。

国内宿泊者をターゲットにしたコンセプト型民泊

コロナを通して、非日常的な空間や体験を国内宿泊者に提供するためのコンセプト型民泊が数多く誕生しました。以下がその例の一部です。

  • テレワークやワーケーション(観光地やリゾート地でテレワークしながら休暇も取ること)
  • グランピング(キャンプをより豪華にした新しい観光スタイル)
  • ビデオゲームやボードゲームを楽しめる物件

自粛等の影響で国内旅行すらままならない中、週末に近場で楽しい体験ができるということをウリにしている民泊物件、新しい働き方を提唱するユニークな民泊物件など、コロナ後も見据えた新しいビジネススタイルを生み出した事業者も数多くいます。

まとめ

本記事では、日本における民泊運営の概要と課題点に関してまとめました。日本では民泊新法が制定され、民泊ビジネスに関する環境整備が進められています。これからも、民泊に参入する事業者はさらに増加することが見込まれます。

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