マンションで旅館業(旅館業法)許可を取得するために抑えておくべきポイント

旅館業法
マンションで旅館業(旅館業法)許可を取得するために抑えておくべきポイント
年間180日の営業日制限のある新法民泊より高稼働が見込める旅館業法を望まれるオーナー様が増加しています。特に、マンションを分譲で保有しているわけでなく、1棟所有しているオーナー様であれば旅館業法での許可取得を検討される方は多いはずです。そこで本記事では、今現在マンション1棟を保有されているオーナー様で旅館業法の許可取得を検討されている方向けに、許可取得のために抑えておくべきポイントについてご説明いたします。

マンション1棟での旅館業許可取得のために関する3つの法律


これからマンション1棟で旅館業許可取得を目指される方に始めに理解して欲しいのが、旅館業法だけでなく、建築基準法消防法の3つの法律が定める条件をクリアする必要があるということです。旅館業許可取得に際して、これら3つの法律は大変難解な内容となりますので、本記事では、まずはじめに確認されるべきポイントを順に説明してきます。

旅館業法上のポイント

マンションのような共同住宅を宿泊施設にする場合には、旅館業法が定める宿泊施設の4つの定義(ホテル、旅館、簡易宿所、下宿)の中でもホテル旅館営業の区分で申請を行うことになります。

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旅館業法を理解してホテル運営に挑戦!! ホテル開業手順を解説します!!

以下では、ホテル、旅館営業について説明します。よく簡易宿所と混同される方がいらっしゃるので、注意してください。

玄関帳場(フロント)の設置義務

旅館、ホテル営業には、玄関帳場(フロント)の設置が義務となっています。しかし、2018年6月15日以降は構造設備基準が緩和されたことから、ビデオカメラによる本人確認機能が搭載されているICT機器で代替できる場合には、物理的な玄関帳場の設置が不要となりました。

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【旅館業法】フロント(玄関帳場)とは!? 無人化運営のポイントを解説

緊急時の駆けつけ体制の確保

旅館、ホテル営業では、緊急時の駆けつけ体制を整備する必要があります。旅館業法では、宿泊者の緊急を要する状況に対応できるように、10分程度で職員が駆けつけできる体制を整えなければなりません。マンションで旅館、ホテル営業を行う場合にはここがネックになる方が多いです。

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民泊の緊急駆けつけとは!? 概要や駆けつけ例について解説

建築基準法上のポイント

次に重視すべきが建築基準法におけるポイントです。これから旅館にすることを前提にマンションを建設中である場合には、既存の建築基準法の基準に適合する場合が多いですが、築古の空きマンションを転用するような場合には、現在の基準に適合していない場合が多いです。

そこで建築基準法を適切に理解し、旅館営業する物件の基準を満たしていることを確認しましょう。

容積率に関する基準

容積率とは、「敷地面積に対する延床面積の割合」のことであり、建物の区分によって容積率が決められています。1棟マンションで民泊を行う際に最も障害となるのが、この容積率に関する問題です。

住宅用のマンションの場合にクリアできていた容積率基準であっても、建物の区分をホテルや旅館にした途端に容積率の基準が厳しくなり、ホテル、旅館として活用できない状況が続いています。下記記事にあるようにホテルとしてマンションを活用する場合に、容積率が緩和されたのですが、依然として容積率の基準は各自治体に委ねられているのが現状です。必ず各自治体に確認を取るようにしましょう。

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1棟マンションで民泊開業なら知っておきたい「ホテル容積率の緩和」について

建物の用途変更が必要なケース

容積率の問題とやや重複しますが、ホテル、旅館として運用したいマンションの容積率の基準をクリアできない場合には、建物の用途変更を行うことも検討しなければなりません。

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民泊の用途変更とは!? 用途変更の概要と方法について説明

消防法上のポイント

最後に、ホテル・旅館営業を行うために満たすべき消防法の基準について説明します。

マンション1棟のような共同住宅の全部でホテル・旅館営業の許可を取得したいという場合には、消防法が定める所の防火対象物として、消防法施行令・別表第一5項イの防火対象物に該当し、以下の表に相当する消防基準が定められています。

参照元:民泊における消防法令上の取り扱い等について(消防庁)

(5)項イの定める消防基準では、全ての部屋に自動火災報知器や誘導灯を設置するほか、消防管理体制も整備する必要があります。防火管理者の専任や消防計画の作成の必要もあります。消防法はとても複雑ですが、消防庁が出している以下の資料を活用するなどして、所有する物件の消防基準を確認することをオススメします。

関連ページ:
民泊における消防法令上の取り扱い等について

さいごに

本記事では、マンション1棟の旅館業許可取得を目指しているオーナー様向けに、抑えておくべきポイントについて説明しました。本記事で説明しましたように、旅館業法の許可取得に関する法令は複雑なものが多く、個人で申請準備を行うことは大変困難であると思われます。

株式会社プレイズは民泊だけでなくホテル・旅館営業に関しても豊富な管理実績を保有しております。これからホテル・旅館営業をお考えでしたらお気軽にご相談をお待ちしております。