
目次
分譲マンションでの民泊はハードルが高い
まずマンションで民泊を行うと言っても、分譲マンションで行うことは注意が必要で、1棟まるごとではなく、一部屋単位で運営することは非常にハードルが高いです。それは、以下の2つの理由から、そう考えられます。
その1: 民泊利用者による迷惑行為が多く問題
分譲マンションを民泊に利用する場合、全部屋が宿なわけではなく、1棟に何部屋かあるうちの一部屋が宿になります。もちろん、そこで日常を過ごす人もいます。そのため、民泊利用者による下記のような行為が迷惑となり、住民からクレームが起きることもあります。
1) セキュリティ問題
住民にとって、見知らぬ人が入れ替わりで部屋に出入りしていると不安に思われることがあります。そうならないように、管理会社に民泊運営は可能か確認し、住民には実施する旨のを説明をしましょう。
2) ゴミや騒音問題
ゴミ出しや騒音など、マナー面で苦情が出ることも少なくありません。ゲストには、必ずハウスルールを事前にきちんと渡し、注意を促しましょう。
関連ページ:
よくある民泊トラブル 知っておきたい事例と対処法
その2: 管理規約で禁止している
マンションによっては、上記のようなトラブルも全国的に多く発生しているため、住民が快適に暮らせるようにと、物件の管理規約で、「部屋を民泊など住宅として使う以外の用途で管理すること」が禁止されていることもあります。
その場合、その物件では民泊を行うことは基本的に不可となります。管理規約は、マンションの絶対ルールです。
民泊用に分譲マンションを購入したにもかかわらず、「購入時には決まっていなかったが、住民総会で4分の3以上の反対多数者が出て民泊が禁止になった」などのケースが起きることがあります。そうならないためにも、分譲マンションで民泊を行いたい方は、事前に管理組合に相談して許可をもらっておきましょう。
1棟マンションと民泊は相性がいい
一方で、分譲マンションのケースとは違って、すでにマンションを保有しているもしくは、これから物件を購入(建築)する場合には、1棟マンションで民泊が運営可能になります。その理由は、主に以下3つからです。
理由1: 個人ならマンション管理組合の規約は関係ない
1つ目の理由としては、そもそも自身で管理する物件となるため、分譲マンションのようにマンション組合に決められた厳しい管理規約など必要ないからです。それは、基本的にオーナーである自分自身で設計することが可能になります。
しかし、だからと言って適当に決めていいわけではなく、国土交通省では、「マンション標準管理規約」というものが作成されています。また、それは公表されていて、個々のマンションにおいては、その内容に対して、独自の項目を付け加えることが推奨されています。
つまり、管理規約としての最低限の内容さえ整っていれば、そこで民泊を運営すること自体が規約内に含まれていても全く問題はないということです。
理由2: 容積率が緩和されたことで1棟マンションの民泊が行いやすい
次に、これまで長い間、宿泊施設の運営においては制限がかけられていた物件の「容積率」というものが、宿泊施設の増大に向けて、2016年6月より国交省より規制緩和が認められたことが2つ目の理由です。
そもそも容積率とは、建築物がある敷地面積に対して建築物の延床面積が占められる割合のことを指します。そのハードルが著しく下がったため、建て替えも含め、例えば住宅用として保有していた既存のマンションなどを宿泊施設として管理できるように用途変更することが以前よりも容易になりました。
ただし、その緩和の決定権は各地方自治体に委ねられているため、絶対に許認可が下りるという保証はございませんので、ご注意ください。
関連ページ:
1棟マンションで民泊開業なら知っておきたい「ホテル容積率の緩和」について
理由3: 利回りが圧倒的にいい
3つ目は、分譲マンションのように一部屋単位で行うより、1棟マンションで行った方が部屋数も多く、海外からの家族旅行などの団体客も宿泊しやすくなるため、集客さえ上手く行うことができれば、圧倒的に収益は右肩上がりに伸びていくことになるからです。
実際に弊社が管理代行を行っている物件においても、1棟マンション丸ごとで旅館業の営業許可を取得し、民泊の運営を行っているところがありますが、オーナー様が通常の賃貸マンションとして運営していたときよりも利回りが8%ほどアップすることが可能になりました。このように、今の時代の民泊は1棟マンションでの運営が非常に向いています。
参考ページ:
江東区 ホテル 14部屋(旅館業法)
1棟マンション民泊を行う時の注意点
最後に、1棟マンションにおいて、民泊を行うときの注意点をここで説明していきたいと思います。少なくとも、以下の3つのことは「これから民泊を始めたいと考えられている方々」には極力ご注意いただきたいです。
消防法基準の確認
1点目は、「消防法」に関することです。これから民泊を運営しようと考えているマンションが、運営の許認可を受けるにあたって、消防法の基準を問題なく満たせているかどうか事前に確認しておくようにしましょう。
既存の設備だけでは必要な基準を満たすことができていない場合、それを満たすことができるように建物内に新たな自動火災報知設備や消化器、避難口誘導灯などを導入する必要が発生するかもしれません。また、自動火災報知設備は無線方式のものも開発されているので、簡便な工事で取り付け可能です。基準はマンションの規模によって違うこともあるので、自分でわからないという場合は必ず最寄りの消防局へ相談しに行きましょう。
緊急駆け付けの対応
次に、「緊急駆け付けの対応」についての説明です。1棟マンションで民泊を行うに際しては、ゲストが宿泊する部屋に家主はいないことになると思います。その場合、何かトラブルが発生してしまったときに現場へすぐ駆け付けることができる体制を整えておく必要性があります。
一見して大変そうに思える条件ですが、専門のセキュリティ業者や民泊の運営自体を管理代行会社に委託することができれば、問題なく対応可能となります。
緊急駆け付けが必要になるケースは大体が施設内の設備トラブルやゴミ処理に関すること、そもそも物件にアクセスできないなどが多いので、予めハウスマニュアルを用意してお渡ししておくことで未然に防げると理想です。
ルール作り
3つ目は、ルールづくりについてです。ここまで、1棟マンションで民泊を行うことに対してのメリットや魅力、注意点などを徹底的に説明してきました。しかし、ここで話にあげさせていただいたものは、それぞれあくまで一例にしかすぎません。マンションの管理規約やハウスマニュアルの作成、緊急駆け付けの対応策や消防法の確認など、これらは基本的にオーナー様自身で作っていかなければならないものです。
とはいえ、それらをすべて一人で考えて、実行していくにはハードルが高いことも多々あるかとは思います。そういったときには、最寄りの自治体や信頼できる専門業者などへ、積極的に相談をしに行くように心がけることを推奨いたします。
さいごに
今マンションを保有しているオーナー様に対して、マンションを民泊として活用していくことの魅力を知っていただくため、前半部分では分譲マンションでの注意点、後半部分では1棟マンションでのメリットなどをお伝えしてきました。この機会に、一棟マンション等を賃貸から民泊施設に用途変更することで、ぜひ今よりも高い利回り率を実現させましょう!
もちろん、弊社では1物件1部屋単位での管理代行も可能かつ、1棟マンションでの運営実績もございますので、気になった方がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談いただければ幸いです。