
近隣周知は必須だが、近隣説明は必須ではない
そもそも民泊新法においては、住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)の「住宅宿泊事業の届出(法第3条第1項関係)」にて、「④届出に関連して実施することが望ましい措置について」という項目で、「住宅宿泊事業を営む旨の届出を行うにあたっては、届出者から周辺住民に対し住宅宿泊事業を営む旨を事前に説明することが望ましい。」と記されています。
そのため、近隣住民とのトラブルを回避するためにも開始すること自体を近隣住民に事前周知することは必須だと考えられますが、それぞれに対して説明会のようなものを行う義務はありません。もちろん、自治会や町内会のルールによっては、周知の後で住宅宿泊事業者に対して、何らかの説明を求められるケースもあります。つまり、「近隣住民へ民泊を始めるという事前周知」は必須ですが、「近隣住民へ民泊についての説明」は必須ではありません。
近隣周知する内容
各自治体の条例に基づき、届出に先立ち、事業を営もうとする住宅の周辺住民などに対し、掲示および書面配布などによる事前周知を行う必要があります。そこで、周辺周知するにあたり、必要な項目は以下5点が一般的と言われています。(参照:東京都目黒区)
- 住宅宿泊事業を営もうとすること
- 届出住宅の所在地、建物名及び部屋番号
- 住宅宿泊事業を営もうとする者の連絡先
- 住宅宿泊事業を開始しようとする年月日
- 掲示及び書面配布を行う年月日
その際の注意点は、主に以下2点です。
- 周辺住民等に対し、届出の15日前までに事前周知を行います。
- 事前周知は、届出住宅ごとに掲示及び書面配布等で行います。
この内容からも、「いつどこで誰が何をするのか」を周辺住民に安心感を与えるためにも周知しておくことが必要不可欠だと考えられます。宿泊者が施設内や地域でトラブルを起こしてしまったときのためにも、住宅宿泊事業者の連絡先も周知することは大切です。
近隣説明の範囲
さて、そもそも近隣住民への事前周知とはいえ、「どのような範囲に行えばいいのだろうか」という点に悩まれる場合もあるかと思います。その範囲も例えば以下のように各自治体ごとで定められています。(参照:東京都目黒区)
- 事業を営もうとする住宅(建物)の土地に存する家屋の使用者及び隣接若しくは近接(事業を営もうとする住宅の敷地からの距離が10メートル程度の範囲)する土地に存する家屋を所有又は居住する住民を対象としています。
- 事業を営もうとする住宅が共同住宅である1棟の建物に存する場合は、全住戸に居住する住民を対象としています。
その範囲が実際どこの住居までを含むのかは複雑な場合もあるため、当該地域の役所の担当窓口で必ず相談するようにしましょう。
近隣説明の方法
まずは届出住宅に資料の掲示を行い、該当範囲には書面配布(ポスティング)や説明会などの開催を通して、事前周知を行いましょう。また、周知が完了した後は、住宅宿泊事業届出書とともに、周知報告書を各自治体に提出しましょう。
提出の際には、事前周知を行った日時、周知先(住所・部屋番号及び氏名など)、周辺住民から申出のあった意見の内容などの記録を作成しましょう。加えて、次の書類も周知報告書に添付して提出することを推奨します。
- 届出住宅の案内図
- 掲示したものの写し
- 掲示位置図
- 配布書面
周辺周知がされているか否かの違いで、やはり近隣に住む方々の安心感も変わってくるため、大変かもしれませんが、必ず事前周知は行っておくようにしましょう。
さいごに
本記事をご覧の皆さん、近隣説明とは何をすればいいか、少しでも内容を理解することができ、実際に自分自身でも近隣説明の準備を進められると思うことはできましたでしょうか。基本的に住宅宿泊事業届出書を提出する2週間ほど前までに、近隣住民に対して、ポスティングなどで、民泊が始まることを周知しましょう。また、周知活動を行うにあたり、お伝えする範囲がわからないなどの場合、お気軽にご相談ください。
株式会社プレイズは、住宅宿泊管理業者として豊富な管理実績を保有しております。これから民泊を始めたいけれど、何から始めたらいいのかわからないという場合にはお気軽に弊社までご相談ください。