
目次
- 民泊として申請できる形態
- 民泊新法とは!?
- 民泊許可申請の方法
- 民泊の開業に必要な書類一覧
- 申請の注意点について
- 申請が完了したら運営準備を行いましょう
- 民泊サイト登録をしましょう!!
- おまけ:民泊廃業時の手続き
- 民泊の開業後は収益性を意識した運営へシフト
いざ民泊を始めようとしたとき「何をしたら良いのか?」「どこに許可を取るのか?」「誰でもできるのか?」など分からないことだらけですよね。特に、民泊物件の民泊許可取得のための申請や手続きは初めての方にとっては難しい作業かと思います。そこで本記事では、これから民泊事業を始める人のために必要な手続きや申請方法について紹介します。本記事を最後まで読んでいただくことで民泊申請の流れや注意点が理解できると思います。
民泊として申請できる形態
民泊の許可申請について基本的なことから見てみましょう。一言で民泊といっても様々な形態があり、現在民泊として申請できる形態は以下の3つです。
・民泊新法による届出住宅の民泊
・国家戦略特別区域法の特区民泊
・旅館業法における民泊(特に簡易宿所が民泊と認識される)
インターネットの民泊サイトには、法整備前に民泊をはじめて正規に届け出ていない民泊が混在しています。現在は取締りが整備されてきているので、これから民泊の許可申請をしようとしている人はきちんと所定の手続きを踏みましょう。ここでは主に民泊新法について詳しく見ていきます。
関連ページ:
混乱しやすい合法民泊3種類の違いを解説します
民泊新法とは!?
一軒家やマンションを民泊として使用したい人は、2018年の6月に施行された民泊新法による届出住宅として法律の定めるところの適用を受ける必要があります。民泊新法の場合には、人を宿泊させる日数が180日を超えないものとされています。これが旅館業の場合ですと、365日運営できますが、必要書類や審査基準は民泊新法よりも厳しくなります。また、民泊新法で定める「住宅」とは次に掲げる設備要件と居住要件を満たしている必要があります。
設備要件:「台所」「浴室」「便所」「洗面設備」
居住要件:「現に人の生活の本拠として使用されている家屋」
例1: 入居者の募集が行われている家屋
例2: 随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されている家屋
民泊を始めたいと思っていても、どんな家でもどこの場所でもできるというわけではありません。事前に民泊可能な地域であるか、そして、その物件が民泊として使用できる条件を満たしているかどうかということを確認する必要があります。
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新法民泊でホストが用意すべき設備について解説します
民泊許可申請の方法
では、いざ民泊を始める時にどういった手続きが必要なのかを見てきましょう。
保健所に事前相談
民泊を始めたい方はまず保健所に事前相談に行くことをおすすめします。各区の中でも細かく条例が異なるため、定める基準も変わってきます。事前相談では、まずその物件が民泊可能なのかということも含めて必要書類や注意事項について説明してくれます。事前相談で、申請にあたって必要なことを確認してから申請を行いましう。
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民泊運営のために保健所の事前確認は何を行うのか!?
申請書類取得
事前相談が終わったら申請書類を取得しましょう。法務局や本籍地の役場に行く必要があるので、ある程度スケジュールは確保しておきましょう。また、事前に管轄の消防署や清掃事務所への相談を行なったうえで、各機関の認印をもらう必要があります。
※取得に時間がかかるもの
・消防機関事前相談記録書
消防機関に対して、民泊運営にまつわる問い合わせシートです。消防関連事項で管轄が承認したエビデンスとして提出時に確認されますので、準備をしましょう。以下に墨田区のフォームのリンクを添付しましたので、ご参照ください。
関連ページ:
墨田区の消防機関事前相談記録書の様式
・清掃事務所事前相談記録書
消防同様事前に予約をとって訪問しましょう。
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杉並区の廃棄物事前相談記録書の様式
・近隣周知の実施
区ごとに定められている日数後に申請が可能になるので前もって周知しておきましょう(10日〜2周間)
申請書類作成
必要書類の取得と同時に書類の作成もすすめるといいでしょう。まずは図面の作成です。台所、浴室、トイレ、洗面設備が記載されている図面が必要で、それぞれ居室の面積、宿泊室の面積、その他使用に供する部分の面積も必要になるので寸法のわかる図面を用意しましょう。図面には避難経路図の位置と非常用照明の位置の記載も求められますので注意が必要です。
民泊ポータルサイトへの登録
必要書類が揃ったら、最後に民泊ポータルサイトへの登録が必要です。ポータルサイト上での届出も可能ですし、印刷したものに手書きで情報を書いて保健所に提出することも可能です。民泊を始める上でこのサイトの利用は必須になりますので必ず行いましょう。運営後の定期報告もこのサイト上で行なえます。
関連ページ:
観光庁民泊ポータルサイト
保健所への申請手続き
すべての書類が揃ったら、保健所生活衛生課に予約をとって訪問します。書類の確認をして問題がなければ受理していただけます。区によっては届出後に現地立会がある区もあるので事前に確認しておきましょう。申請が受理されてから約10日前後で許可番号が発行されるので、区が発行する標識を受け取り運営開始となります。
保健所申請に必要となる書類
大まかな流れについて説明しましたが必要書類や書類の記入方法などは各区ごとの違います。必ず事前相談で確認しましょう。ほとんどの区で求められる書類の一覧は次のとおりになります。
- 不動産登記簿謄本
建物の登記簿謄本です。
- 住民票
個人で申請の場合に必要となります。
- 身分証明書
法人の場合役員全員分(本籍地の役場にて交付のもの)が必要となります。
- 誓約書
個人、法人でフォームが異なります。
- 住宅宿泊事業届出書
ポータルサイトで入力したものが該当します。
- 台所、浴室、トイレ、洗面設備などが載っている住宅の図面
居室の面積、宿泊室の面積、その他使用に供する面積が記されているものが該当します。
- 安全確保の措置 チェックリスト
建築士のサインがあるとよいです。
- 消防機関事前相談記録書
図面と宿泊室の面積を記入して事前相談した相談記録書が該当します。
- 清掃事務所事前相談記録書
区によっては必要ない場合があります。
- 事前周知内容記録書
近隣周知文面と周辺地図を記載する必要があります。
- 入居者募集の広告
家主不在型の場合には必要です。
- 管理委託契約書の写し
家主不在型の場合には必要です。
- 転貸承諾書
賃貸物件の場合には、物件の大家さんが承諾したことを証明する必要があります。
- マンションの管理規約の写し
分譲マンションの場合には、管理規約のコピーが必要となります。
- 定款の写し
法人の場合には必要です。
- 随時その所有者、賃借人または転借人の居住の用に供されていることを証する書類
家主居住型の場合には必要です。
各書類ごとに注意点はあるので各区の手引に沿って用意しましょう。
民泊の開業に必要な書類一覧
民泊を開業するときに必要な書類は次の5点です。この5点の書類はどんな場合でも必要になります。
- 破産手続きの該当者ではないという市町村長の証明書
- 住宅の登記事項証明書
- 入居者募集の広告を証明する書類
- 住宅の図面
- 欠格事由に該当しないことを誓約する書面
上記の5点の書類に加えて、次の場合に当てはまる方は余分に書類が必要になります。忘れず準備しておきましょう。
以下の場合 | 必要な書類 |
区分所有の建物 | 規約の写し |
居住のための建物 | 居住を証明する書類 |
借家 | 双方が承諾したことを証明する書類 |
委託 | 管理業者から交付された書面の写し |
規約に住宅宿泊事業について定めがない | 管理組合に禁止する意思がないことを証明する書類 |
未成年者 | 法定代理人の登記事項証明書 |
申請の注意点について
申請で必要な資料はわかりましたが、申請時の注意点について説明します。この点は事前に把握しておくことでスムーズに申請作業が進むはずです。
- 法人での申請か個人での申請か
必要書類が異なります。個人の場合には住民票が必要ですが、法人の場合には身分証明書が必要です。
- 面積の計算方法
居室の面積の場合には「内寸」で計算することになりますが、宿泊室の面積・その他使用に供する部分の場合には「壁芯」で計算することになります。「内寸」と「壁芯」の計算に関しては、住宅宿泊事業を営む場合には重要な点なので、理解するようにしましょう。
- 定款が古い場合は原本と相違がないことを記入して印鑑必要
法人の場合には、定款の写しの提出が必須となりますので注意が必要です。
- 周知範囲が区ごとに異なる
物件の玄関から半径何メートルや、物件の各端から何メートルなどと言ったように周知範囲が区ごとに異なりますので、それぞれの区の条件を確認しましょう。
申請が完了したら運営準備を行いましょう
運営準備とは主にハウスガイド作成などのことを指します。もちろん物件を運営できる状態にするという意味で備品の搬入や設置も含まれますが、それ以外にもゲストの方へ守ってほしいことや設備の使い方などを記載したハウスガイドを設置などがあります。また、騒音問題で近隣クレームが来ることもあるので静かにしてくださいといったような張り紙などもあるとベターです。
海外からくるゲストですと日本の家に住むということに慣れていないため細かくハウスガイドに記載するとゲストからの評価に繋がりますので、極力多言語で準備しましょう。他にも、最寄りの駅からの道順などを作成すると迷わずに物件にこられるのでこういった工夫もあるといいかもしれません。このように運営を開始するまでの準備はいろいろあります。申請後、許可番号が発行されるまでに準備を行っておけば番号発行後にすぐに運営が開始できるので事前に準備しておきましょう。
参考ページ:
【民泊経営を始める方必見!! 】airbnbスタートアップガイド!!
民泊に必要な家具・家電一覧リスト!!
民泊サイト登録をしましょう!!
許可番号が発行されたら運営開始に向けてゲストを募集する準備を行いましょう。主に掲載するサイトへの登録やリスティング作成などになります。現在、数多くの民泊サイトが存在しています。その中でも世界最大手のAirbnbは最も利用者数が多く、民泊を始める方はまずAirbnbに掲載することをオススメします。
Airbnbに登録したらリスティングを作成しましょう。物件の詳細や設備など、詳しく書ける所はできるだけ多く書くのがベストです。その他の設定や、金額設定もしておきましょう。サイトごとに登録方法やユーザーなどは違うので事前に募集するサイトを調べておくといいでしょう。近年では多くの中国系サイトが存在しておりTujiaやAsiayo、自在家などはその代表的なものになります。
Airbnbの場合、許可番号を登録してから5営業日以内に掲載が開始されます。掲載が開始されたあとにもリスティングや金額は変更できるので時期やイベントに合わせて変更するのもありかもしれません。
参考ページ:
民泊サイトの選び方とオススメサイト5選
おまけ:民泊廃業時の手続き
民泊廃業時の手続きは次のとおりに行います。
1.取引業者への対応
民泊で取引をしていた業者に廃業の連絡をしましょう。連絡を忘れると余分にお金がかかったり、手続きに時間がかかったりします。
2.物件の明け渡しまたは転用・売却
民泊で使用した物件が賃貸だった場合は、現状に戻す明け渡し作業をしてください。所有物件の場合は、転用するか売却するか検討しましょう。
3.廃業届の提出
廃業届は各自治体で提出期限が定められているため、届け出をした自治体に確認してください。必要書類は廃業等届出書と添付必要書類です。
4.法人の清算
資産が負債を上回っている場合は、清算手続きを行いましょう。各監督官庁に書類を提出したら清算人を選出し、清算事務が終了したら廃業手続きは完了です。
民泊の開業後は収益性を意識した運営へシフト
本記事では、これから民泊を開業される方が、物件を民泊物件として登録するために必要な手続きについて説明しました。民泊の手続きは必要な情報も多く、認可されるまでに多くの作業工程があることからとても大変です。
本記事の内容を最後まで読んでいただいた方は少なからず民泊申請の大まかな流れを理解いただけたかと思います。ここからは、実際に皆さんが民泊を行う地域の条例を確認し、また地域の特性、競合民泊物件を調査し収益性を意識した民泊運営を目指しましょう。
関連ページ:
民泊運営の費用相場について解説します!!
【民泊オーナー初心者必見】民泊で利益を上げるためのポイント10選
プレイズでは、住宅宿泊管理業者として首都圏における豊富な民泊物件の開発・管理実績を保有しています。これから民泊を開業したいという方で、どこから手をつけたらいいのかわからないという方でしたらお気軽にお問い合わせください。