
目次
- 空き家が問題になっている
- 空き家と民泊に関する法律
- 民泊として空き家を活用することのメリット
- 民泊として空き家を活用することのデメリット
- 空き家を民泊にする際に知っておきたいポイント
- 空き家を民泊として有効活用しましょう!!
近年、日本では空き家が社会問題となっています。そこでの解決策として民泊活用することが注目されています。それでは、どうすれば空き家を民泊として使うことができるのでしょうか。本記事では、空き家問題の紹介と民泊活用する上で抑えておくべき点について紹介します。
空き家が問題になっている
1. 国内の空き家の現状
近年、日本にはさまざまな社会問題が起きていて話題になることが多いです。そのような問題の1つが国内の空き家問題であり、全国的に注目されています。
2013年の総務省による全国調査によると、空き家が819.6万戸あります。住宅ストック全体のなかで空き家の占める割合が13.5%となっていて、これは調査が始まってから最高となりました。2008年との比較では62.8万戸も空き家が増加しているのが現状です。現時点で、日本の住宅の1/7が空き家となっており、このままのペースでは2028年には日本の住宅の1/4が空き家になるとされています。
空き家の内訳をみると、賃貸用の物件が52.4%というデータがあります。また、居住者が長期不在の住宅や取り壊し予定の住宅などを含むその他の空き家が38.8%でした。賃貸用の住宅や売却用の住宅に関しては、不動産市場の円滑な流通のためにある程度必要なものです。しかし、それ以外の放置されているだけの空き家は、市場から取り残されており、早めに対処しなければいけません。
空き家は特に大都市圏に集中している傾向があります。たとえば、東京都だけでも2013年の調査では80.5万戸もの空き家があるのです。大都市圏は特に新築住宅の需要が高く、高齢化も進んでいて、今後も空き家が取り残されてしまうことが懸念されています。
空き家を放置しておくのが問題になる理由は、腐朽や破損の可能性があるからです。周辺の住民に大きな被害がもたらされる可能性があります。たとえば、倒壊して隣の住宅を壊してしまう恐れがあります。放火されたり、犯罪に利用されたりする危険性もあるため、早急に対処することが求められているのです。
2. 空き家はなぜ増えるのか!?
どうして空き家が増えているのかには、さまざまな原因が考えられます。まず、日本では人口が減少しています。その結果、住宅の需要が下がっているのですが、新築の住宅がどんどん建てられているため、必然的に古い住宅が余ってしまいます。
また、高齢化が進んでいることも空き家が増える理由となります。たとえば、認知症になってしまい、本人に意思能力がなくなり、空き家を処分することができないケースです。代々受け継いできた住宅であり、親戚の目もあるため、自分の代で手放せないと考える人もいます。せっかく建てた家を取り壊すのはもったいないと思い、使っていないのに残しておくケースもあります。改修や解体のための費用を出すことができず、空き家を放置せざるを得ない人もいるのです。
空き家を処分するのが嫌ならば、利活用すればいいと考える人も多いでしょう。しかし、利活用できないことにも理由があります。たとえば、家財や仏壇などが残っていて、処分することができないケースです。物置として空き家を利用していて処分できないという人もいます。他人に貸し出すことに対して抵抗を感じていて、賃貸物件として利用することに踏み切れない人もいるでしょう。なかには、特に理由がないけれども、手続きなどが面倒くさくて放置する人もいます。
このように空き家が増えるのには、さまざまな理由が関係しています。今後は政府が中心となって真剣に空き家を解決することが求められます。
空き家と民泊に関する法律
1. 空き家対策特別措置法
日本に空き家がたくさんあることが問題視されるなか、空家等対策特別措置法が平成26年に成立しました。この法律では、さまざまなことが定められています。
法律では、空き家の所有者に対して適正管理する義務があるとしています。空家の放置によって、さまざまなトラブルが起きる可能性があり、それらの可能性に対して所有者はすぐ改善するための行動をする必要があるのです。
法律では、空き家を所有しているのに適正管理していない人に対して、助言や指導、勧告などの行政指導することを定めています。万が一、勧告にしたがわなかった場合には、命令を出すことができ、違反すれば最大で50万円以下の罰金が下されます。したがって、空き家を持っている人は、今すぐに行動して適正管理することが求められます。
また、特定空家の指定に関するルールも法律で定められています。国が空家の調査をして、問題になる空き家を特定空家に指定するのです。特定空家の指定を受けてから勧告を受けると、改善されるまでの期間は固定資産税の優遇措置が適用されなくなります。したがって、これまでの6倍もの税金を払わなければいけません。
2. 民泊新法(住宅宿泊事業法)
空き家を民泊として活用するつもりならば、おさえておくべき法律が民泊新法です。日本で民泊の需要が高まっていて、法整備が求められた結果。2018年に民泊新法が施行されました。正式名称は住宅宿泊事業法です。
民泊新法では、民泊の運営を始めるために届け出をすることを求めています。住専地域での営業も可能となっているのが大きな特徴です。ただし、自治体が独自に制限を設けることも認められています。そのため、地域によっては、住専地域での営業が認められない場合があります。営業日数の制限があり、年間提供日数が180日とされています。ただし、条例によって、営業可能な日数がもっと短い場合があります。
民泊を行うためには、住宅が法律の定める要件を満たしている必要があります。設備要件として、台所と浴室、便所、洗面設備がそれぞれ必要です。また、居住要件として、実際にそこが生活の本拠として使われている家屋であることが定められています。
そのほかにも、さまざまな義務が定められています。避難経路の表示や非常用照明器具などの設置をして安全を確保しなければいけません。外国人観光客が主な利用者となるため、設備の使い方や交通手段などを外国語で説明することも求められます。宿泊者名簿を備え付けて、個人情報の記入をしてもらうことも義務です。衛生確保の措置や苦情の処理、標識の提示なども求められています。
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民泊として空き家を活用することのメリット
民泊として空き家を活用するメリットは以下の3点です。
- 収入を得られる
- 少ない初期費用で始められる
- 資産価値を高められる
空き家の活用方法を知りたいという方はぜひ参考にしてみてください。
収入を得ることができる
空き家を民泊として利用すれば、宿泊費から収入を得られます。空き家のまま放置したとしても、修繕費や税金などがかかりますが、民泊として運営すれば宿泊費を得られるので支出をまかなえます。
空き家として売るのは時間がかかり、なかなか売れない場合も多いため、空き家のままにしておくと支出ばかりが増えて重荷になってしまいますよね。
収入を増やして空き家を管理する手段として民泊がおすすめです。民泊の収入を活かして修繕費にあてたり、空き家の老朽化を防いだりすることができます。空き家の使い道に困っているという方は、民泊として運営してみるのも1つの方法です。
少ない初期費用で始められる
空き家があれば少ない初期費用で民泊を始められます。民泊を始める際は、物件探しから始まるので手間と時間、物件を購入する費用もかかってしまいますよね。一方で、空き家があればすでに物件が用意できているので、室内を整理したりアメニティを揃えたりするなどの少ない費用で始めることが可能です。
空き家が多くてどうすればいいのか分からないという方は、民泊を始めてみるのがおすすめです。最初に物件があれば始めやすく、始めた後も収入を得られるので宿泊業を始めてみたい方にぴったりでしょう。失敗した場合にも損失が少なくて済むので空き家がある方は民泊をおすすめします。
資産価値を高められる
老朽化した空き家は価値が低下しやすい傾向にありますが、民泊を運営していれば事業用不動産として売買できるため資産価値が高くなります。居住のための物件であれば年数が経つほど価値が低下しますが、民泊として運営した経験があれば、付加価値がプラスされ売買する際も高値で売れるでしょう。
居住用より民泊として運営した方が資産価値が高くなりやすいです。空き家のままにしておくより民泊は人が出入りするため、比較的よい状態で保存できます。空き家を効率的に使うためにも民泊を始めるのがおすすめです。
民泊として空き家を活用することのデメリット
1. 空き家が民泊として認められないケースがある
そもそも、すべての空き家が民泊として使えるわけではありません。民泊として使える住宅には、法律によって条件が規定されているからです。住居として使用している家屋や賃借人を募集している家屋などが民泊の物件として認められます。したがって、長年ずっと放置されていた空き家は、そもそも民泊として使える物件の条件を満たしていません。
居住できるような環境が整っている必要があるため、空き家を民泊として活用するために掃除や改修をするケースが出てくるでしょう。そもそも、空き家が放置されている理由として、掃除をしたり、改修したりするのが面倒だからという人の存在があります。そのような人にとっては、空き家を民泊として活用できるようになったからといっても、あまり効果がないかもしれません。
2. 近隣住民とトラブルになる可能性がある
民泊新法で定められたルールにしたがっていれば、法律的には空き家で民泊をすることに問題はありません。しかし、民泊を始めたことにより、近隣住民とトラブルになるケースがあります。たとえば、宿泊した外国人が部屋や外で大騒ぎして近所迷惑になるかもしれません。路上にゴミを捨てて苦情がくることもあります。また、マンションの空き部屋を民泊として利用する場合は、見知らぬ外国人が頻繁に出入りすることを不安に思うかもしれません。防犯上のリスクが高まってしまい、そのマンション全体の価値を下げてしまうことも考えられます。
こういった近隣住民とのトラブルの可能性が常に存在するため、空き家を民泊として利用するときには注意しましょう。きちんと近隣の人に民泊を始めることを説明して納得してもらうことが大切です。近隣との関係が悪くなってしまうと、今後に影響が出てきてしまいます。
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3. ホテルに影響が出てしまう
現在、法律によって民泊が緩和されていて、これから空き家も含めて民泊の提供がどんどん増えていくことが予想されます。そうなると、地方のホテルに影響が出てしまうことが懸念されています。基本的にホテルよりも民泊のほうが安上がりとなるため、安さを求める人が民泊を利用することが考えられるからです。特に地方にある小規模なホテルは大打撃を受けるかもしれません。情報発信力に劣っていて、現時点でも宿泊者を集めることに苦心しているホテルは、地方などに多いからです。
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4. 犯罪者が利用するリスクがある
民泊は訪日外国人が主な利用者として想定されています。すると、招かれざる利用者が出てくる可能性があるため注意しましょう。たとえば、犯罪者やテロリストが民泊を利用するケースがあるのです。ホテルと比較すると民泊は警察の目が届きにくい存在であり、犯罪者などのインフラとして利用されかねないのです。もちろん、民泊であっても身元の報告は求められるのですが、ホテルほど厳重にチェックされるわけではありません。また、民泊の経営者がズボラな人であり、適切な管理を怠る可能性もあるでしょう。ルールを守らずに違法に民泊を運営している人は今でも多いです。実際に民泊の部屋を用いて犯罪が行われたケースは日本にも存在します。そこで、警察のほうでは民泊を利用した犯罪を防ぐために真剣に対策を進めているのです。
民泊の運営者は、自分たちが社会に対して責任を持つ必要があることを自覚するべきでしょう。民泊は犯罪者に利用されるリスクがあることを常に念頭に置き、怪しい宿泊者がいればすぐに警察に通報することが求められます。自分の所有する民泊物件で事件や事故が起きたときには、一定の責任があることを自覚することが大切です。
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空き家を民泊にする際に知っておきたいポイント
空き家を民泊に使用する際に知っておきたいポイントは次の4点です。
- 民泊の種類
- 民泊の運営形態
- マンションでの制限
- 市区町村ごとの制限条例
実際に空き家を民泊にするためにも、この4つをおさえておきましょう。
民泊の種類
民泊の種類は次の3つに分けられます。
- 旅館業法
- 特区民泊
- 民泊新法
旅館業法は営業日数や地域に制限がないため、民泊の中でも最も収益を出しやすいタイプです。ただし、旅館業法は保健所からの申請や許可を得る必要があるため、特区民泊や民泊よりも開業のハードルが高いです。民泊だけで収益を出したい方におすすめします。
特区民泊は、限られた地区のみで運営できる民泊を指します。限られた地区のみで運営が許可されているため、自分が民泊を始める場所が特区かどうかあらかじめ調べておいてください。
民泊新法の一番のメリットは、手続きが簡単なことです。物件を用意して担当窓口に届出をするだけで民泊を始められます。しかし、年間180日までしか営業できないため民泊以外の活用方法も考えておかなければなりません。
民泊の運営形態
民泊には家主居住型と家主不在型の2種類があり、家主不在型の場合は管理業者に委託することが義務付けられています。家主居住型ではハウスルールを徹底するなどの工夫ができます。
民泊の運営を完全に依頼するなら完全代行、清掃やスケジュール調整のみなら一部代行がおすすめです。家主不在型の場合は、チェックインをオンラインで行ったり鍵の受け渡しをメールで行ったりできます。
宿泊者との日程を調整するために民泊専用サービスを使う場合もあります。宿泊者がチェックアウトしたあとは、代行会社による清掃や備品の購入も依頼できます。チェックインから清掃まで担当してくれる代行会社もあるので、事前に調べておきましょう。
マンションでの制限
マンションで民泊を始める場合は注意が必要です。マンションの規約で民泊を禁止している場合があるので、事前に不動産会社に問い合わせておきましょう。
「民泊対応状況管理組合アンケート」によると、105の管理組合のうち101が民泊を全面禁止にしていることが分かります。マンションは近隣住民との距離も近く、不法投棄や禁煙場所での喫煙などトラブルに発展することが多いです。エントランスなど住民が集まる場所では特にトラブルに発展しやすいため、多くのマンションが民泊を禁止しています。
マンションで民泊を始める場合は、管理会社や不動産会社の許可書を提出する必要があるので、必ず許可を取りましょう。
市区町村ごとの制限条例
空き家を民泊にする場合、市区町村ごとに制限条例が設けられている場合があります。民泊の規制が緩和されていますが、それは地域住民とのトラブルを防ぐためや暮らしを守るためのものです。
たとえば、京都市では民泊営業を1月15日正午から3月15日正午までに制限しています。この期間は閑散期なので、旅館に影響を及ぼす可能性が少ないという理由です。また、管理者は宿泊施設の半径800m以内に駐在しなければならないという条例もあります。
東京都大田区では、学校の敷地周囲100m以内において家主不在型の民泊を経営する場合、月曜日正午から金曜日正午までの期間は事業を行えません。
京都市や大田区のように市区町村で特別な条例を設けている場合もあるので、事前に確認しておきましょう。
空き家を民泊として有効活用しましょう!!
日本では空き家問題が深刻化しており、その対策として民泊を活用することが注目されています。そのために国も民泊として空き家を利用できるように規制緩和を進めました。しかし、民泊をすることでさまざまなトラブルが起きる可能性があり、犯罪に利用されるケースがあることを理解しなければいけません。空き家を民泊に活用したいならば、ルールを守り、責任のある管理をしましょう。
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