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インバウンド需要増加と懸念されるホテル不足
日本のインバウンドホテルは急速に増加しています。2010年代は訪日外国人が毎年増加で推移しています。このように、圧倒的なインバウンド需要増加を背景に、ホテル不足が叫ばれています。また、ここに民泊の優位性が見込めるわけです。
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民泊とホテルの利用者層の違い
民泊とホテルはそれぞれの利用者を食い合うのではないか!? と懸念されていますが、実際には、それぞれの利用者層は異なります。
ホテルの利用者は、年齢層が30~60歳の中高年が対象となり、全てが新しく綺麗で快適な宿泊施設と宿泊体験を期待します。一方で民泊の利用者は、年齢層が20歳~29歳の若年層が対象となり、訪れた地域独特の家庭での宿泊経験を期待します。そもそもの属性が全く異なります。
民泊増加がホテルへもたらす影響について
民泊増加がホテルにもたらす影響に関しては、すでにメトロエンジンにてデータの試算が行われており、それを元に考察します。
1. 現状はホテルの代替宿泊施設としての位置付け(2019年10月まで)
調査結果によると、ホテルの稼働率が極めて高い時に宿泊先を求めてユーザは民泊を利用する傾向があることがわかっています。ここで仮にホテルの稼働率と民泊の稼働率が同等に増加している場合には、かなり高い割合でユーザを食い合っていると言えますが、ホテルの次善策として民泊を利用していることがわかります。このインサイトでは、ホテルユーザと民泊ユーザが互いに食い合っているとは言えません。つまり、民泊増加は、ホテルから溢れたユーザを効果的に吸収する構図です。
参考サイト:
民泊によるホテルの稼働率への影響〜民泊はホテルの競合となるのか!?②〜
2. 今後は民泊がホテルにとって変わるものとなる(2019年10月以降)
これらは、冒頭で述べたような旅館業事業者や民泊事業者(住宅宿泊事業者)の動きを見るだけでなく、仲介業者の動きを参考にすると今まではホテルがない時に民泊を選んでいたユーザも、民泊とホテルを同等にみて、同じ比較の土俵に並べる傾向が強まると思われます。これは大手サイトの以下の傾向が要因です。
a. 大手OTAも民泊に本格参入し垣根がなくなっていく
大手オンライントラベルサイトであるExpediaやBooking.comに関しても民泊物件を掲載し始め、本格的に民泊領域に参入し始めています。また、Airbnbにも民泊物件(新法民泊、特区民泊許可物件)だけでなく、旅館業許可物件も掲載されてきていることから、民泊とホテルが同じ戦上に置かれています。そのため、ホテルを好むユーザと民泊を好むユーザの2つのユーザと、そのいずれも同程度で好むユーザの取り合いが進む構図になっています。
b. Airbnbのビジネスプログラムの存在
Airbnbにはビジネスプログラムという、ビジネスユーザ向けのサービスも存在します。このサービスでは、観光目的のユーザだけでなく、出張などのビジネス用途でホテルを利用するようなユーザに向け、民泊物件を利用させようとAirbnbが2017年4月に開始したサービスです。
このサービスの肝は、Airbnbが今までホテルを利用していたユーザに民泊利用させるようにスイッチトリガーを提起している点にあると思われます。今後は一層ホテルと民泊のユーザの取り合いが活発になると思われます。
参考ページ:
Airbnbビジネスユーザ向けの出張対応認定リスティングのすすめ
多くの仲介サイトにリスティングを掲載すべき
マーケティングの視点から考えると、ほとんどのユーザは1つまたは2つの仲介サイトの会員登録をしているため、サイトごとにユーザ群が固まりやすい傾向があるはずです。その場合、民泊サイトもホテルサイトも可能な限り多く掲載しておくことがユーザ獲得にはオススメです。掲載サイトが増える場合には、ダブルブッキングのみに気をつけておけば問題ないです。
さいごに
本記事では、民泊とホテルが現状どのようにユーザを獲得しているか、また今後のユーザの取り合いについて説明しました。大手OTAやAirbnbなどの仲介サイト側も相互的にユーザ獲得の施策を進めており、結果としてホテルと民泊でお互いのユーザを食い合っていくことが想定されます。
プレイズでは、このようなホテルと民泊の両方のユーザ獲得のために、旅館業法と民泊新法の両方の開発から運用まで多くのオーナー様をご支援してきております。民泊をこれから始めたいけれど、ホテルと民泊のどちらで運用すべきか迷われている場合には、弊社までご相談ください。