
民泊経営では、土地・物件の選定が最も重要なプロセスとなります。しかし、多くの方が土地・物件選定で見落としがちな点が多いような気がしています。今回は、住宅宿泊管理業者としてご支援させていただく中で、弊社の実際の支援経験から見たよくある失敗しやすい事例を紹介しつつ、効果的な土地・物件選定のノウハウをご紹介したいと思います。
事前調査や運用活動なしでは失敗する
民泊は簡単にできそうに見えて、戦略的にかつ計画的に運営しないと必ず失敗します。民泊は集客の見込める適切なエリアで、収益性のシミュレーションを行った上で物件を選び、継続的な運用活動が必要となります。この点多くの方が勘違いしやすいのであらかじめご理解ください。ただ外国人の滞在が多い地域と聞いただけで民泊物件を調達するような「感覚に頼った運営」は絶対にやめるべきです。
ターゲットとなる顧客層を理解する
民泊を始める前には、必ずこれから運用する民泊のメインターゲットについて事前に理解を深めましょう。民泊を利用するユーザは主に海外からの旅行客となります。しかしもちろん、日本人も利用することになりますので、土地・物件がこれらのターゲットのニーズを満たすものであるかを確認しましょう。
1. 外国人がメインターゲットになる場合
民泊の主なターゲットは外国人旅行客となるはずです。以下では外国人旅行客が重視するポイントを記載します。
a. 周辺を手広く回れる好立地
ほとんどの外国人観光客で民泊を利用する方は、日本に到着して周辺の土地勘がないので、駅から近い物件を好みます。駅から徒歩圏内5分の物件が特に高評価得やすいです。
b. 家族で宿泊できる大きな物件
外国人旅行客の場合には、個人利用よりも家族と言った団体利用が一般的となります。そのため、家族で宿泊できるに足りる広々とした物件が望ましいです。
2. 日本人がメインターゲットになる場合
外国人だけでなく、日本人による民泊利用ニーズももちろんあります。日本人が民泊を利用する場合には、以下のような利用ニーズがあります。
a. 出張先での利用
旅行ではなく、仕事など短期間過ごさなければならない場合で、ホテルの予約ができない場合や、単純に民泊を楽しみたいといった場合です。このような場合には、駅から近い利便性の高い物件が好まれます。
b. 就活用に活用
地方の学生が就活のために一時的に都市部の民泊物件に宿泊したいというニーズもあると思います。学生の場合は社会人よりも宿泊料金を気にするはずです。そのため、利便性よりも安く宿泊できる物件を選ぶでしょう。
c. 若年層の旅行宿泊先としての利用
学生や20代の男女が対象です。集団で旅行に行った際の滞在先として民泊を活用することもあります。このような場合には、その土地ならではの体験を期待して民泊を利用するはずなので、キッチンの設備が整っている物件を重視することになります。補足ですが、最近では結婚前の同棲体験として利用されることもあるようです。
このように、対象とするユーザごとに適切な条件が異なりますので、自身が狙いたいターゲットを考慮した上で次段階のエリア選定に入ることをおすすめします。
収益性に基づいた戦略的なエリア選定
民泊や旅館投資をするにあたり一番重要なのは物件・エリア選定であると断言します。「とりあえず空き家があるから民泊を始めよう!」だとか、「不動産会社から民泊が儲かる!」と紹介された物件で民泊を始めたとしても収益を維持することは大変難しいです。民泊運営管理200件の実績から高収益で稼働させるポイントについて説明していきます。
1: エリア選定
民泊はどこでもできると思っている人が多いですが、実は「東京23区内で180日規制が無い区」や「平日での運営ができない区」が存在します。以下で整理したいと思います。
特区民泊について
すでに聞いたことがあるかもしれませんが、民泊運営180日の規制が無い区については東京都では大田区の特区民泊(国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業)が該当します。この条例では180日の規制がないため年間で365日の運営が可能となります。
年間365日丸々運営できるなら、大田区で民泊投資したほうがいいのではないかと思われるはずですが、欠点も存在します。詳しくは後述します。
平日・休日の運営について
多くの区では曜日の規制があります。Airbnbで人気が出そうな新宿、渋谷、浅草エリアでは平日(月曜日から金曜日)における民泊の運営ができません。
これらの運営の規制の元になるものは、用途地域の制限です。用途地域とは、土地計画法で定められるもので、特定の目的を土地に与える法律でして、代表的なものには、住居として利用できる土地住居専用地域、商業運営が可能な土地商業地域、工場運営可能な工業地域などがあります。
これらの用途地域については、各市区町村のWebサイトや保健所で調べることができますので、試してみてください。この用途地域が住居専用地域にある物件、空き家については、週末しか運営できない区がほとんどですので必ず注意してください。
2: 条例別オススメエリア
収益に関係するエリア別のオススメになります。オススメ度の低いもの以外を参考にして物件選びをしてください。
エリアオススメ度 5
特区により年間365日の運営が可能なエリアとなります。
大田区
エリアオススメ度 4
用途地域関係なく運営可能なため、運営曜日に制限のないエリア。
豊島区・葛飾区・墨田区・江戸川区・北区
エリアオススメ度 3
運営の曜日に制限のあるエリア
新宿区・渋谷区・足立区・板橋区・練馬区・台東区・品川区・杉並区・千代田区・世田谷区・港区
エリアオススメ度 2
全地域において制限さえれているエリア
中央区・荒川区・文京区・江東区・目黒区
高収益を見込める物件選び
エリア選定の次に重要となるのが高収益を見込める物件選定です。
気をつけていただきたいのが、住居のための投資ではなくAirbnbを使った民泊、宿泊事業の投資として物件を選ぶ必要があるという点です。海外からの旅行客が宿泊したくなるような物件ということがポイントです。ここではAirbnbの特性から物件の選び方を教えます。
1. 収容人数が多いことがホテルよりも魅力的!?
Airbnbが人気な理由としては最大収容人数が一般的なホテルよりも多いためです。多くのホテルでは基本宿泊人数が2~3名までとなりますが、民泊では4名以上の宿泊施設がほとんどです。弊社管理物件でも最大24名が宿泊できる民泊物件もございます。
海外旅行者のほとんどが個人ではなく家族で訪日するため、少ない人数を想定したホテルよりも大人数の宿泊が可能となる民泊が好まれやすくなります。
2. 築年数が長いことがメリットにもなる!?
空き家活用の際には築年数を気にしたり、フローリングがなく畳だけなど物件内装で断念される人がいますが、実は築年数が古いことが民泊運営で欠点になることはないので安心してください。
一般賃貸の場合には築年数が重要な要素となりますが、Airbnb上には築年数を掲載することはありません。実際には、古民家の稼働率は80%を超えることもあり、宿泊単価が新築物件より高くなることも大いにあり得ます。
民泊を利用するゲストが最も気にしているのは、物件の築年数なのではなく、母国で経験できない宿泊施設が利用できることなのです。そのため、投資用物件を選ぶ際はこの旅行客の目線でみてイメージしてください。安い物件で高収益を生み出すこともできますし、逆に高い物件でも収益が出ない場合もありえます。
3. 駅からの距離は近い方がいい
Airbnbの利用者はキャリーケースに大量の荷物を携えて、宿泊先に現れます。駅からの距離は5分以内がベストです。また、駅から徒歩で物件に向かうため、道は可能な限り舗装されていることが望ましいです。
さいごに
本記事では、民泊を運営する時に重要となる効果的な土地・物件選定のこつについて説明しました。民泊運営の土地・物件選定の際に見落としがちな点に気をつけ、失敗しないようにしましょう。
プレイズでは、民泊運営の開発から運用また清掃業務までをトータルサポートしております。民泊でお困りのことがありましたら、お気軽にご相談ください。