
本記事ではどのような民泊が違法なのか、また違法な民泊を利用するとどのような危険があるのかということを解説します。
民泊は危険?増加する違法民泊とは
本来、民泊を運用するには営業許可を取得したり行政へ届出を申請しなければ営業を行えません。営業許可なく宿泊施設として建物を運用することは法律で禁止されています。より詳しく言えば、継続的に金銭のやり取りがあったり宿泊客を広く募集していたりすると法律的には旅館やホテル扱いになり、営業許可が必要になります。民泊に関しても、新法民泊の対象となるため、対応の必要があります。
しかし、手続きや申請が複雑で素人には分かりにくく、規定が厳しいこともあり営業許可を取らずに民泊を運用する人が続出した背景があります。違法民泊とはそうした施設を指して呼ばれ、犯罪やトラブルに至った事例も少なくありません。ニュースやメディアでも社会問題として取り上げられています。
違法民泊は利用者にも危険が及ぶ!?
違法民泊は法律で定められた基準を満たしていない民泊を指します。そのため、衛生面、安全面、近隣の反応などが良くなく、民泊を利用するゲストにも危険が及びます。結果として、様々なトラブルに繋がることになります。
1. 事前説明をせず近隣トラブルへ
事前に近隣住民へ民泊運営の説明をしないことから、近隣住民から苦情を言われることもあり得ます。騒音自体が許容されるものではないと思いますが、事前に近隣説明をすることによりこれらのトラブルを未然に防ぐことが可能になるはずです。
2. 掃除が行き届かず過ごしづらい
違法民泊は管理がずさんになりがちで清掃も適切に行われていない場合があります。これらの清掃は民泊新法(住宅宿泊事業法)や旅館業法で規定されるものですので、必ず行われる必要があります。このような状況では、利用者の体調が悪くなったり、民泊に宿泊することの楽しさを体感するまでもない状況下に陥ることになります。
3. 犯罪や病気の緊急事態でも駆けつけ体制がない
民泊新法では、該当物件での急な事態に対して管理業者がいつでも駆けつけできる体制を規定しています。しかし、違法民泊ではこの体制が構築されていないため、ゲストの安全が担保されていない運営となります。
関連記事:
よくある民泊トラブル 知っておきたい事例と対処法
実際にあった危険な民泊の事例
では、実際にあった事例をいくつかご紹介します。違法民泊と知らずに利用するとトラブルに巻き込まれる可能性も高いので、民泊を利用する前に一度じっくり検討してみましょう。
修学旅行での民泊のトラブル
修学旅行で地方の一般家庭に泊まるホームステイ型の民泊が多くなってきています。田舎の生活を体験したり地元のホストと交流できたり魅力もたくさんありますが、トラブルも多く報告されています。
例えば、ステイ先のおじさんが女子生徒が泊まる部屋で一緒に寝ていたという事例や生徒が滞在中に怪我をしてしまったケースもあります。受け入れ先の待遇によって差が出たり、中には未成年の学生に酒を勧めてしまう家庭もあるのです。修学旅行の民泊では各家庭に生徒が泊まるため、細かいところまで教員の目が行き届かずにトラブルが起こることも十分に考えられます。
参照元:https://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20181018-OYT8T50013/3/
性犯罪
「ヤミ民泊」と呼ばれる違法民泊では実際に犯罪も起きています。2017年7月には韓国人女性が男性オーナーに性的暴行を受けたという事件もありました。民泊はホストと気軽に交流できるのも特徴のひとつです。しかし、その気軽さゆえにオーナーは宿泊客に近づきやすく危険も伴います。
また、違法物件では鍵の管理がしっかりとされていないところもあります。ロックがかからない郵便ポストに鍵が入れてあったり、暗証番号付きでもこまめに番号を変えていないケースも多いです。鍵の管理が甘いと誰でも部屋に入れる状態になってしまうため非常に危険です。
参照元:https://gendai.media/articles/-/53828
https://biz-journal.jp/2018/01/post_22061_2.html
部屋に隠しカメラが
民泊を利用するときに気をつけなければいけないのが隠しカメラです。アメリカでは2017年にカップルが滞在先のアパートで隠しカメラを見つけた例も報告されています。小型カメラだとちょっとした隙間にも設置できたり、ぬいぐるみや目覚まし時計に付けられていることもあります。
よく注意して見ないと気付かないので、火災報知器が変な場所にあったりする場合は気を付けましょう。不安に感じるのであれば入室したときに隠しカメラが置かれていないかチェックすることをおすすめします。スマートフォンのカメラ機能とライトを使えば探し出すことも可能です
参照元:https://news.yahoo.co.jp/byline/abekasumi/20220623-00302157
違法民泊の見分け方について
格安料金で観光地に泊まりたい!そんな観光客にとって民泊は格好の宿泊所と言えます。
Airbnbなどのサイトを介して民泊をする際は、ホストの詳しい素性を知らずに利用することがトラブルの一因とも考えられます。では、どういうポイントから安全な民泊かどうかを見分ければよいのでしょうか。ここでは「こんな民泊は危険!」というポイントと民泊選びに大切なポイントをいくつか挙げてみました。最近のAirbnbでは、民泊なら届出番号を記載しないと物件のリスティングを作成できない仕様になっているため、以前よりは違法民泊が減ってきているはずです。
1. 物件の写真のないリスティング
Airbnbなどの民泊仲介サイトには、民泊利用者の知りたい情報が掲載されるはずですが、物件の写真のない物件や住所の記載がない物件だったり、物件情報が極めて少ないような物件は違法民泊の可能性が高いです。ただ、Airbnbも違法民泊には目を見張っているので、基本的にはこのような物件はすぐにリスティング掲載が停止になるようです。
2. 宿泊料金が極端に安い
違法民泊を行う業者というのは、とりあえず集客をとりたいという業者が多いようで、極端に安い宿泊料金を設定している場合があります。さすがに宿泊料金が安すぎる物件を発見した際には、違法業者を疑うべきです。
3. 連絡をしてもレスポンスが悪い
ゲストが何か知りたくても、質問に対するレスポンスが悪くゲストが知りたい情報が知ることができないということが起こり得ます。そんな中で宿泊した場合に、事前に聞いていない清掃費の請求がされるなど、悪徳な要求をする事業者も存在します。
Airbnbにより許可番号のない物件は排除
民泊新法が施行された2018年6月15日の段階で、民泊新法(住宅宿泊事業法)の届出番号や旅館業法の許可番号などの入力を義務付けました。このため、Airbnbでリスティング物件の中で届出番号や許可番号のない物件は掲載することができません。つまり、現在Airbnbに掲載されている物件は正式に認可がされた物件ということになります。
参考ページ:
「届出/許可登録番号」の項目には何を入力するの?
違法民泊の罰則
もちろん違法な民泊を運営している場合には、罰則が適用されます。以下に違法な民泊運営を行なった事業者に対する罰則としては下記のものが考えられます。
20万円以下の過料
・事業廃止の届出をしていない者又は虚偽の事業廃止の届出をした者
30万円以下の罰金
・変更の届出をしていない者又は虚偽の変更の届出をした者
・宿泊者名簿の備付け義務、標識の掲示義務に違反した者
・定期報告をしていない又は虚偽の報告をした者
・業務改善命令に違反した者
・報告徴収に応じない者又は虚偽の報告をした者
・立入検査を拒み、妨げ、又は忌避した者
・質問に対して答弁しない者又は虚偽の答弁をした者
50万円以下の罰金
・住宅宿泊管理業者及び住宅宿泊仲介業者への委託義務に違反した者
6月以下の懲役若しくは100万円以下の罰金又はこれの併科
・虚偽の届出をした者
・業務廃止命令に違反した者
民泊新法の手続きは煩雑なため、申請がしづらい点はありますが、罰則があることも意識した上で必ず申請を行いましょう。
さいごに
本記事では、民泊新法の施行後に問題となった違法民泊の概要と違法民泊の見分け方について説明しました。そもそも、人が寝泊まりする場所を提供するようなビジネスには高い倫理観が求められます。日本全体として、このような違法業者が不適切な運営をすることにより、民泊に対する悪い認識や意識が蔓延することになり、結果として日本の民泊に対して悪い印象をもつ人が増加し、日本の民泊の成長に悪影響が及びます。そうならないために、既存の事業者は適切な民泊運営を心がけることが大切です。
プレイズでは、住宅宿泊管理業者として豊富な管理実績があるだけでなく、民泊新法に基づいて新法民泊のコンサルティングも行なっております。これから民泊を始めたいけれど民泊新法についてわからないことがある場合には、弊社までご連絡をお待ちしております。