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最近流行りの民泊ですが、関連する法律が多かったり、いろんな情報が出回っていますよね。そのため、民泊について簡単に理解できるコンテンツ記事があまり出回っていないことが民泊を始めたい方々にとっての参入障壁になっているのではないかと思いました。そこで本記事では、民泊の概要について、また民泊が人気を集める理由、メリット・デメリット、種類、問題点などを包括的に説明したいと思います。
民泊とは何なのか!?
民泊は、ホテルや旅館などの宿泊施設ではなく、戸建てやマンションなどの一般住宅に人を宿泊させることを指します。
民泊は言葉通りに捉えると、非常に単純な宿泊形態ですが、既存のホテルや旅館などが旅行客を宿泊させるような旅館業法の枠組みの中で民泊を行おうとすると、ほとんどの民泊事業者が用途地域や消防法などの要件をクリアできず違法民泊とみなされることから、2018年6月に民泊新法が制定されました。これにより、旅館業とは異なり(「簡易宿所」として運用される民泊はこの仮定からは除外)、より簡単に始められる宿泊事業として注目されています。
民泊はなぜ人気なのか!?
Airbnbをはじめとした民泊仲介サービスの普及は凄まじく、日本においても例外ではありません。特に、首都圏における民泊需要は年々増加しています。主な理由としては、訪日外国人の増加と空き家問題解決に対する期待が挙げられます。
1. 訪日外国人の増加
民泊人気を後押しする主要因は訪日外国人数が増加していることが挙げられます。これは日本政府のビジット・ジャパン・キャンペーン以降で日本の観光立国化が積極的に進められているためです。この施策の目標として、訪日外国人観光客を2020年までに4000万人、2030年までに6000万人の到達を掲げています。

ビジット・ジャパン事業開始以降の訪日客数の推移(2003年~2018年)を元にプレイズにて作成
JNTO(日本政府観光局)の公表するデータによると、2018年の訪日外国人観光客は3119万1000人と前年比(8%増)となっております。訪日外国人の増加数は急激に増加していることがわかります。訪日外国人の増加に伴い、国内ホテル不足も懸念されています。
2. 空き家問題の解決策
日本は人口が恒常的に減少している一方で、物件数が増加しています。そのため、活用されていない物件も増加しています。総務省統計局によると、2018年時点で空き家率が13.6%(前年比0.7%増)となり、空き家の有効活用を求められています。
参考: 平成30年住宅・土地統計調査 結果の概要 総務省統計局
これらの空き家をリノベーションした上で民泊として活用することにより、空き家率の低下が期待されます。民泊の現状については、以下の記事を参考にしてください。
現状の民泊の課題点と今後の展望について
民泊のメリット
民泊は、事業者(ホスト)側、利用者(ゲスト)側の双方からのメリットが多いため日本全域でも急速に普及しています。民泊が爆発的な人気を得る理由をホストとゲストの両方の側面から整理します。
民泊ホストにとってのメリット
民泊ホストが得られるメリットは収益性とゲストとの交流から生じるものがあります。
1. 空き屋を活用して収益を得ることができる!!
民泊ビジネスが広く普及した要因の1つですが、現在使われていない空きスペースを活用して収益を得ることができます。これは、ホストとしては大きなメリットとなります。
民泊による収入は通常の不動産投資で得られる収益よりも収益性が高いため、魅力的な金額の副収入は大変魅力的となります。
事例1) 賃貸マンションを民泊として利用
元は賃貸で利用されていたマンションを民泊として利用したことにより高稼働を実現し、実質利回りが4%から12%まで向上したお客様がいらっしゃいます。
事例2) 相続による空き家活用
ご両親が亡くなられたことにより利用されなくなった空き部屋を民泊物件として活用されるお客様もいらっしゃいます。
2. 人との交流機会を得ることができる
ホストが管理する物件にゲストが宿泊する際には多くの場合ゲストと綿密なコミュニケーションが発生します。Airbnbのゲストは日本人だけでなく、アジア圏やヨーロッパからの訪日外国人も多いです。そのため、あらゆる国の人と交流する機会を得られ、広く交友関係を築くことができるのも魅力的です。
ゲストによっては、自国の特産品を手土産として持参してくれる親切な方もいるため、ゲスト起因で活発なコミュニケーションが生まれるはずです。
3. 簡単に民泊事業を展開できる
Airbnbのプラットフォームを活用することで、誰もが簡単に民泊事業を開始できます。後述する民泊新法の枠組みの中で民泊を行う場合には、旅館業の申請よりも簡単な条件下で開業することができます。新しいビジネスを比較的簡単に体験することができるということも魅力の1つです。
民泊ゲストにとってのメリット
民泊ゲストが得られるメリットとしては、価格の手頃さと地域特有の体験が挙げられます。
1. ホテルや旅館よりも安く宿泊が可能
ホテルや旅館などの宿泊施設の宿泊料金に比べると、民泊の宿泊料金は安くなりがちです。日本でホテルに宿泊する場合だと、1人1泊8000~10000円程度はかかりますが、民泊の場合なら半分の4000~5000円でおさめることも十分可能です。
また、5人以上で泊まることもできる部屋もあるため、人数分で割ればとても安い料金で宿泊することが可能となり、ゲストにとっては大きな利点になります。
2. その地域特有の文化経験が可能
ホテルや旅館などの宿泊経験は一定の質が担保された単調な経験になりがちですが、民泊の場合は、地域特有の文化が反映されたユニークな体験が期待できます。
その土地に住むオーナーとの食事やコミュニケーションを通して、現地固有のローカル体験を味わうことができます。キッチンが使える物件なら、訪れた土地の食材を使った料理を楽しむこともできます。
3. 普段味わえない部屋に泊まることが可能
国内の民泊物件だけではなく海外の民泊物件に宿泊することも可能です。民泊ゲストの中には他国のユニークなデザインの部屋に泊まることを楽しみにしている方も大変多いです。日本を訪れる外国人は日本固有の畳の和室を期待して日本の民宿を利用することもあります。特に海外では体験できない敷布団が人気なようです。
民泊の種類と関連のある法律について
民泊の種類は大きく3種類となりますが、各民泊に関して定める法律は異なります。以下でこれら3つの民泊を規定する法律を整理します。
1. 住宅宿泊事業法(民泊新法)の定める新法民泊
一般的に日本で民泊営業となると、民泊新法が規定する民泊を指します。民泊新法の規定する民泊の場合には住居専用地域での営業が可能となりますが、営業日数に関しては、年間180日間しか営業ができないなど稼働の面で懸念が残ります。
また、ホストが家にいない場合の家主不在型民泊の場合には、住宅宿泊管理業者への管理業務の委託が必要になるなどの制約が盛り込まれます。実際に営業を開始する際には、都道府県に対して、届出をする必要があります。住宅宿泊事業法(民泊新法)関連の記事は以下をご覧ください。
民泊新法が定める「住宅宿泊管理業者」について徹底解説
民泊新法が定める「住宅宿泊仲介業者」とは!? 業務内容や申請方法について解説します!!
2. 旅館業法の定める簡易宿所としての民泊
旅館業法では、空き部屋を人に有償で貸し出す際には、「旅館・ホテル営業」「簡易宿所営業」「下宿営業」の3つの形態が規定されていて、その中でも簡易宿所としての営業で民泊を行うことが可能です。
簡易宿所の場合ですと、新法民泊での営業日数の制限はないですが、ホテルや旅館として扱われるため、住居専用地域での営業はできません。また、許認可に関しては、民泊新法と異なり、届出ではなく、「許可申請」という形を取らなければなりません。そのため、申請のハードルが高くなることは留意が必要です。
3. 国家戦略特別区域法が定める特区民泊
国家戦略特別区域法が定める特定の地域(東京都大田区、神奈川県、千葉県成田市、大阪府など)での民泊運営が可能となり、新法民泊で規定する制約が緩和されます。
そのため、民泊営業日数の制限はありませんし、住宅専用地域での民泊営業も可能となります。しかし、実際に民泊営業を開始する際には、都道府県から「認定」を受ける必要があります。これも新法民泊の許認可よりはハードルが高いため、留意が必要です。
これら3つの民泊の違いについては、以下の記事にて詳細を記載していますので、こちらも合わせてご確認ください。
民泊が抱える問題点
民泊は空き家対策として有効な手法であり、ホストやゲストに対しても多くのメリットがありますが、一方で問題点も確認されていまして、現在確認されている問題点と今後顕在化すると言われている問題点についてご説明します。
1. 近隣住民からのクレーム
民泊のゲストは、旅行目的で現地を訪れ民泊を利用するケースがほとんどです。その場合、楽しくなって宿泊している物件の中で騒いだりして、近隣住民から騒音を問題視される事例が頻繁に起こり得ます。
このような事例はハウスのルール設計によって事前に回避することが可能です。民泊ホストの場合は、適切なハウスルールを作成して事前防止を心がけましょう。
また、弊社では施策の一環として注意を呼びかける張り紙を活用して、事前防止に務めております。

プレイズにて導入している多言語(英語、日本語、韓国語、中国語)注意書き
2. 無断転貸のトラブル
民泊は、賃貸物件でも運用することが可能です。民泊ホストの中には、オーナー許可を取らずに運用を行う無断民泊を行うホストも存在しており、管理会社の中でも問題視されています。賃貸物件で賃貸後に民泊できない等のトラブルがあるので、必ず専門家に相談することを心がけてください。
民泊のトラブルについては下記記事にて詳細を記載しておりますので、以下記事も合わせてご覧ください。
まとめ
本記事では、民泊初心者に対して、民泊の概要、種類・関連法律、問題点などを説明しました。これから民泊を始める場合には、関連知識を適切に把握しつつ、適切な運営を心がけましょう。
株式会社プレイズは、豊富な民泊物件の管理・運用実績を保有しております。「民泊を始めたい」、「民泊について相談したい」という方々に対して適切な運営アドバイスをさせていただきます。いつでも、お気軽にお問い合わせください。