民泊新法で適用される消防法令について

民泊新法
民泊新法で適用される消防法令について
突然ですが、民泊をこれから行うとして民泊で満たすべき「消防法令」の条件について適切に理解していますか!?
これから民泊物件の許可を取得したいという場合において、届出物件が消防法令の基準を満たさなければいけません。消防法令の理解がネックになっている事業者様が多くいらっしゃるように感じます。そこで本記事では、民泊の届出住宅が満たさなければならない消防法令における条件と対策フローについて説明いたします。

民泊新法で定められる消防法令の確認事項

消防法令とは、火災を未然に防止し、我々や我々の住む住宅を火災や自然災害発生時に保護するために定められた法令です。民泊新法では、届出住宅が消防法令の基準を満たさなければならないことが定められています。
住宅宿泊事業者は自身が運営する届出物件が消防法令の基準を満たしていることを確認し、区の消防機関の承認をえる必要があります。消防法令が届出住宅に求める条件としては以下の条件が該当します。住宅宿泊事業者の方は必ず確認するようにしましょう。

1. 届出住宅の運営用途を整理する

消防法令を理解するファーストステップとしては、届出住宅の運用用途を整理することから始まります。民泊に適用される消防法令では、民泊で利用する届出住宅の運営用途が「一般住宅」「共同住宅」「宿泊施設」「複合用途」なのかによって条件が異なります。判断基準としては、以下の4点を見る必要があります。
基準1: 「一戸建て」なのか「共同住宅」なのか
基準2: 「家主不在」なのか「家主居住」なのか
基準3:  宿泊室(寝室)の床面積が「50㎡を超える」のか「50㎡を超えない」のか
基準4:  民泊を行う住戸が含まれる建物の「棟」の用途は「9割以上が宿泊施設」なのか「9割未満が宿泊施設」なのか「全ての住戸が一般住宅」なのか

2. 届出住宅の運営用途別の項目一覧

上記で運営用途を「一般住宅」「共同住宅」「宿泊施設」「複合用途」に分類したら、各項目ごとに満たすべき条件が定まります。以下は、消防庁が公開している消防の基準です。

用途 一般住居 共同住宅 宿泊施設 複合用途
消化器 ① 延べ面積150㎡以上のもの

② 地階・無窓階・3階以上の階で床面積が50㎡以上のもの

① 延べ面積150㎡以上のもの

② 地階・無窓階・3階以上の階で床面積が50㎡以上のもの

① 延べ面積150㎡以上のもの

② 地階・無窓階・3階以上の階で床面積が50㎡以上のもの

自動火災報知設備(有線と無線) 延べ面積500㎡以上のもの等 全てのもの ・延べ面積300㎡未満のもの

・延べ面積300㎡以上のもの(⑸項イ部 分が全体の10%以下の場合は⑸項イ 部分のみ)

住宅用火災警報器 寝室等に設置 自動火災報知設備があれば不要 自動火災報知設備があれば不要
誘導灯 地階・無窓階・11階以上の階 全てのもの 全てのもの
スプリンクラー設備 11階以上の階 ・11階以上のもの

・延べ面積6000㎡以上のもの等

・11階以上のもの

・⑸項イ部分が3000㎡以上のもの 等

消防用設備等の点検報告 点検が年2回

報告が3年に1回

点検が年2回

報告が年1回

点検が年2回

報告が年1回

防火管理 建物全体の収容人数が50人以上のもの 建物全体の収容人数が30人以上のもの 建物全体の収容人数が30人以上のもの
防火物品の使用 高さ31mを超えるもの 全てのもの ・高さ31mを超えるもの

・⑸項イ部分

1. 消化器

基本的には不要である場合が多いですが、有事の際に消化器を設置することをオススメします。

2. 自動火災報知設備

住居用ではなく特定小規模用火災報知器を必ず導入する必要があります。ほとんどの住宅には元から設置されている火災報知器は、住居用の火災報知器となります。民泊は事業のため、必ず特定小規模用火災報知器を導入するようにしましょう。

3. 住宅用火災警報器

通常の住宅だと元から導入されている火災警報器となります。

4. 誘導灯

最終避難口誘導灯が絶対に必要となります。また、各居室に対して誘導灯の設置義務がありますが、非常用照明に代替が可能であり、居室や宿泊室の場合は非常用照明の方がゲストにとっては望ましいです。

5. スプリンクラー設備

11F以上の建物のマンションでは、スプリンクラー設備が事前に入っていることが多いです。

6. 消防用設備等の点検報告

上記の表の通りで定期的に点検と報告が必要です。これらは各物件についている消防設備士の有資格者が担当します。

7. 防火管理

上記の表の通りです。

8. 防火物品の使用

防火じゅうたんや防火カーテンなどの各種防火物品をさします。防火用製品であることを表すタグが貼付されています。

事例1: 木造2階建て一戸建て 80㎡ 家主不在型での運用

木造2階建て一戸建てで延べ床面積80㎡の架空の物件を想定しました。以下の間取り図に対して各消防設備の設置ができると思います。上記ケース物件を事前に紹介した方法で分類すると、基準1では「一戸建て」、基準2では「家主不在」となりますので、この物件は消防法令上では、「宿泊施設」として分類されます。宿泊施設として分類されるこの物件の場合には、先述の表を参照すると、「自動火災報知設備」「誘導灯」「消防用設備等の点検報告」「防火物品の使用」が該当します。

簡易的な図面を用意しましたが、上記のように配置ができます。このケースでは、玄関の最終避難口誘導灯の設置が必須になります。また、「防火物品の使用」に関しては、防火じゅうたんなどを活用することをオススメします。実際の届出物件では、どの用途に該当してどの消防設備が必要なのかを整理しましょう。

消防法令適合通知書の提出と申請書記入項目について

届出住宅が消防法令の条件を満たしていることを確認し終えたら、消防法令適合通知書を提出しましょう。消防法令適合通知書は、届出住宅が消防法令を満たしていることを消防機関に公式に承認されたことを証明するための書類です。届出住宅の民泊許可申請の際には必ず必要となる書類です。消防法令適合通知書交付申請書の記入項目は以下となります。

参考ページ:
民泊で必要な手続きについて徹底解説!!

項目1: 届出住宅の名称・所在地

届出住宅の所在地と名称を記入しましょう。

項目2: 届出住宅が存する防火対象物の延べ面積(㎡)

届出住宅が含まれる住宅全体の面積を記入しましょう。例えば、マンションの1室で民泊を行う場合には、マンション全体の面積がこれに該当します。

項目3: 届出住宅部分の床面積(㎡) 

届出住宅のみの床面積を記入しましょう。

項目4: 宿泊室(宿泊者の就寝の用に供する室)の床面積の合計(㎡) 

宿泊室の床面積の合計を記入しましょう。宿泊室の床面積が50㎡を超えるか否かで消防法令の要件が異なります。

消防法令適合通知書フォーマット(総務省消防庁)

消防法令適合通知書交付までの流れ

消防法令適合通知書を行政機関から発行してもらうには、所定の手続きが必要となります。手続きのフローや必要書類は以下となります。

フロー1: 事前相談
消防法令適合通知書を発行してもらう前に、事前に相談事項をまとめる必要があります。また、通知書発行のための必要書類も確認する必要があります。

フロー2: 消防法令適合通知書交付申請
消防法令適合通知書交付のために必要書類を揃えて申請しましょう。また、以下の書類を事前に準備する必要があります。

・案内図
・配置図
・平面図
・立面図
・防火対象物使用開始届出書
・工事整備対象設備等着工届出書
・消防用設備等設置届出書
・消防用設備等点検結果報告書の写し
・防火管理者選任(解任)届出書
・消防計画作成(変更)届出書
・各種条例に伴う届出書等

フロー3: 管轄消防による立入検査
行われた許可申請の内容に基づいて、管轄消防による立入検査が実施されます。立入検査の所要時間はおよそ15分程度となります。

フロー4: 消防法令適合通知書の交付
申請した内容が受理され消防法令適合通知書が交付されます。申請から交付までの所要に日数はおよそ2日程度となります。また、立入検査の際に指摘事項があったりすると7日程度かかる場合もあります。

補足) 消防機関事前相談記録書の提出で代用できる場合あり

東京消防庁では、消防法令適合通知書の代わりに消防機関事前相談記録書の提出を義務付けています。消防機関事前相談記録書は、東京都の場合ですと区ごとに決められており、だいたいが以下の項目で構成されます。

項目1: 事業開始予定年月日

民泊事業を開始する月日の記入しましょう。

項目2: 対象物所在・名称

届出住宅の所在地と名称を記入しましょう。

項目3: 家主居住型か家主不在型のどちらか

届出住宅で行う民泊が居住型か不在型のどちらの民泊となるのか記入しましょう。

項目4: 宿泊室面積

届出住宅の面積を記入しましょう。民泊新法では、宿泊室(寝室)の床面積が50㎡以上か以下で満たすべき要件が異なり、その基準を確かめるために必要な情報となります。

関連サイト:
住宅宿泊事業における消防法令適合通知書の交付等について(総務省消防庁)

項目5: 相談内容

消防法令の掲載事項で相談時に確認すべきことを記載する箇所です。

項目6: 相談先消防機関確認印

届出住宅の項目が上記の確認内容を満たしたことを確認した消防機関が承認したことを示す項目です。これがエビデンスとなります。

事前相談記録書フォーマット(墨田区)

さいごに

本記事では、民泊事業を行う際に必要となる消防法令の基準について説明しました。民泊申請では、消防法令の基準を満たしていれば高確率で民泊開業がしやすいです。消防法令の基準を理解するためには、まず、届出住宅の運営用途を整理した上で、運営用途に紐づく消防法令の基準を整理しましょう。そして、これらを証明するためには消防法令適合通知書を提出する必要がありますが、東京都では消防機関事前相談記録書の提出でこれを代用できることも抑えておきましょう。

株式会社プレイズは、住宅宿泊管理業者として東京都を中心に数多くの民泊の開発・管理・清掃の実績を保有しております。これから民泊を始めたいけれどどこから始めればいいのかわからないという場合にはお気軽にお問い合わせください。